こうした傾向は世界共通のようだが、その中でも、日本人の「孤独度」は世界の中でも群を抜いて高く、特に男性は世界一「寂しい人たち」という結果が出ている。
世界の先進国が加盟する国際機関OECD(経済協力開発機構)の2005年の調査によれば、「ほとんど、もしくはまったく友人や同僚もしくはほかの人々と時間を過ごさない人」の割合は日本の男性では約17%(女性は14%)で、21カ国平均の3倍近い。もちろん調査21カ国の中ではダントツのトップだ。
つまり、5~6人に1人の男性が絶対的孤独を抱えているという現実。社会から置き去りにされたような孤立感は生きがいや幸福感をむしばみ、生きる意欲をそいでいく。日本人の自殺についての統計を見ると、40~60代男性の自殺率が最も高く、同世代女性の2倍以上に上っている。
孤独を防ぐセーフティネットがない
なぜ、日本の男性はここまで孤立してしまったのだろうか。その1つの要因に、日本社会に孤独を防ぐセーフティネットがほとんど存在していないことが挙げられる。中年以降の男性が友人をつくったり、社会参加をし、孤独を防ぐために、ウェブメディアのライフハッカーは以下のような方法を勧めている。
・Meetupといったオンライン上で同じ趣味の仲間を募ったり、見つけたりするサイトを利用して、気に入ったグループに参加する
・講習やクラスに参加する
・趣味を通じて仲間を見つける
・教会など宗教的な集まりに参加する
・スポーツに参加する
・ペットを飼う
・ボランティアをする
要するに仕事以外での結びつきをつくることが重要ということだ。しかし、そうはいっても労働時間の長い現役世代はなかなか、そうした機会をつくることは容易ではないし、何より、仕事や家庭以外の「第3の居場所」が日本にはそもそも、あまりないように感じる。
同じOECDの調査によると、たとえば、アメリカやスウェーデンなどでは宗教やスポーツ、政治など、3つ以上のグループ活動などにアクティブに所属するという人が多かったのに対し、日本は1つ程度。アメリカでは、コミュニティで活動したり、NGOでボランティアに関わったり、地域の教会の活動に参加する、などという人が多いが、日本では、そうした「第3」のネットワークの存在はそれほど大きくはない。筆者のアメリカ人の知人などでも、教会活動やボランティア活動などを通じて、第2のパートナーと知り合い、晩年結婚をするなどという人も多い。
核家族化、都市への人口集中、血縁・地縁の希薄化に対するセーフティーネットのない日本では、結局のところ、「孤独対策」は行政などに委ねられるしかないということになる。しかし、個々のニーズをすくいとり、対処していくのには限界があり、結果的に、日本人をむしばむ「孤独」という最も深刻な病巣は放置されっぱなしなのである。
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