その中でも、最も強い関係性を結ぶ第1階層に5人、第2階層に10人、第3階層に35人、最後のレイヤーに100人で合わせて150人、というように構成されているという説を唱えた。つまり、親友や家族としてきわめて緊密な関係を築けるのは5人ぐらいが適正ということだ。何となく腑に落ちやすい数字ではある。
フェイスブックでの知り合いの数が多ければ多いほどいいということではなく、真に信頼できる親密な関係性を他人と築くことができるかが、人の幸福の最も大きな決定要因である――。これは、数多くの権威ある研究でも幾度となく指摘されてきた。ハーバード大学の卒業生を75年間追い続けた研究など、数多くの調査で、「人生で最も重要なのはほかの人との温かいつながりである」ことが明らかになっている。
人の健康にも大きく影響
そうしたつながりがあるかないかは人の健康にも大きく影響する。米ブリガムヤング大学の2015年の調査では、35歳以上の350万人のうち、「社会的に孤立している」「孤独を感じる」「独居」のいずれかの場合、死亡リスクが26~32%高かった。まさに、孤独は寿命を縮めるのだ。「孤独は、たばこや肥満同様、もしくは以上の健康リスク」であることは、多くの権威ある研究によって裏付けされている。
そんな「不幸の魔窟」のような「孤独」という病。これは女性より男性にとって、より深刻な問題だ。イギリスの調査では、51%以上の男性には2人以下しか友人がおらず、8人に1人、つまり約250万人が、まったく友人がいないという結果だった。特に年を取ると、友人が少なくなり、誰も友人がいないと答えた率は、24歳以下は7%だったが、55歳以上は19%に上った。WHO(世界保健機関)の調査でも、4人に1人の男性が、家族や友人など頼れる人がいない、という結果だった。
オジサンはなぜ孤独になるのか。それは男性と女性の人との付き合い方の違いに関連している。男性は人と繋がる時、何かの媒介、物、経験などが必要である場合が多い。一緒にスポーツをする、ゲームをするなど、何かの物理的なきっかけを要するのだ。女性は、そうした媒介がなくとも、関係性を成り立たせることができる。何時間でも電話をしながら、お茶を飲みながら、延々と会話を成り立たせることができる。恋バナ、夫の悪口や子供への不満、語るネタは売るほどある。一方で、男性同士が面と向かって、うわさ話に興じる姿はあまり思い浮かばない。その間には将棋があったり、スポーツがあったり、もしくは仕事の話だったり……。
しかし、誰かと何かを一緒に「する」のはただ、「話す」だけの行為と比べて、時間も手間も掛かる。仕事や家庭に忙殺される中、そうした余裕はなかなかない。
このように、年を取るごとに友人をつくるのが難しくなる中で、特に中年以降の男性は孤独というトラップに最も、陥りやすい人たちということになる。
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