ユナイテッド航空、ヤバすぎ危機対応の顛末

内向き論理を持ち込んではダメなのに…

ユナイテッド航空に抗議の声を上げるアジア系の住民たち(写真:ロイター/アフロ)

4月9日夜にアメリカのユナイテッド航空の機内から、乗客が引きずりおろされた事件は、ショッキングな動画がインターネット上で拡散したこともあり、世界中からすさまじい怒りと批判を集めている。

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この乗客が中国系(後にベトナム系と判明)だったことから、中国国内などアジア地域でも、差別的だと非難が殺到、ボイコットの動きも広がった。前代未聞の不祥事ともいえるが、今回の騒ぎの背景にあるのがアメリカの航空会社の徹底的に「上から目線」な対応だ。木で鼻をくくったようなトップのコミュニケーションも火に油を注ぐ結果となり、最悪の危機管理事例の1つとして人々の記憶に残ることになりそうだ。

なぜ、ここまでの事態になったのか。お粗末対応の顚末を見てみよう。

オーバーブッキングは日常茶飯事

事の始まりは、この便がオーバーブッキング、つまり定員以上の乗客に対して、座席の予約を受け付けていたことだった。同航空会社側で自発的に便を変更してくれる客を募ったものの、誰も名乗り出る人が出なかったため、ランダムに4人を選び、便を変わるよう要請したが、応じなかった1人が、強引に機外に連れ出された。

後になって、この便は実はオーバーブッキングではなく、満員だったところに、急きょ自社の社員を4人乗せなくてはならなくなった、ということが分かったが、拒否する乗客を無理やり引きずり出していく様子は動画でインターネットに投稿され、世界に衝撃を与えた。

そもそも、この「オーバーブッキング」等によって乗客に便の変更を要請することは日本でもあるが、アメリカの航空会社では日常茶飯事に行われている。筆者もアメリカ在住時、飛行機に乗る際に、何回も「この飛行機はオーバーブッキングなので、誰か降りてくれないか」と航空会社が乗客に要請するシーンに出くわした。何百ドルかの補償をもらえるので、急いでいない人の中には応じる人もいる。定価ではなく、交渉次第で上下するが、最大1350ドルまでもらえる。こうした補償によって、2日間で1万1000ドルものクーポンを手に入れたという家族の話がつい最近ニュースになっていたほどだ。

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