ユナイテッド航空は、つい先日もレギンスを着たティーンエージャーの搭乗を拒否し、非難を浴びたばかり。これは社員の家族特典を使っての利用だったから、とのことだったが、こうした「ことごとく上から目線」の航空会社の対応に、多くの米国民が腹を据えかねていたという事情も背景にある。その「客に冷たい」一面をさらに印象づけたのが、同航空のCEOオスカー・ムニョス氏の対応だった。
この事件が起きたのは9日日曜日の夜。10日月曜日の日中に出したCEOの声明は以下のものだった。
これは私たち、ユナイテッド航空のすべてのものにとって、たいへん動揺させる出来事です。こうしたお客様に対してre-accommodate(再配置)をしなければならなかったことを謝罪します。われわれのチームは可及的速やかに、当局と調整を進めており、何が起こったのかを調べています。このお客様に接触を試み、直接お話をし、事態を解決いたします。
お客様視点に欠けたメッセージ
さらに、その夜に、従業員向けに送られたメッセージは次のものだ。
親愛なるチームの皆さん
あなたと同じく、私も昨夜のシカゴ発ルイビル行きのユナイテッドエクスプレス3411便での出来事を知り、動揺しました。なぜ、この乗客がシカゴ航空警察に従わなかったのかなど、事実関係や当時の状況についてはまだ調査中ですが、皆さんにこの事件について明確に把握していただくため、従業員からの報告に基づいた概要をここにお知らせします。
読んでいただければおわかりになると思いますが、私たちが機内から降りていただくよう丁寧にお願いした乗客の1人がそれを拒否したため、シカゴ航空警察に協力をお願いせざるをえなくなり、残念ながら状況が複雑になりました。私たち従業員は、このような状況に対処するための確立された手順に従いました。この事故が起こったことについてはたいへん遺憾に思いますが、私はみなさんを強く支持し、そしてこれからも私たちが正しく飛び続けるため、みなさんが努力されていることを称賛したいと思います。
(以下略)
読んでわかるように、お客様視点に欠け、「見下した」感のある日頃の企業姿勢がにじみ出るメッセージだ。この乗客に対する謝罪はいっさいなく、それどころかあたかも乗客が悪いと断定する論調。とにかく謝り倒すことの多い日本企業に比べて、謝罪が圧倒的に少ないアメリカ企業においても、びっくりするほどの「厚顔無恥ぶり」だ。
自らの行為を正当化し、社員を絶賛する内容に、人々の怒りは爆発し、結局、その翌日の火曜日11日に、同CEOは改めて、この乗客に対する謝罪のコメントを発表する羽目となった。
この危機対応は多くの点で致命的な間違いを犯している。
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