プログラミング先進地、武雄はここまでやる 公立小学校でいったいどこまでやれるのか

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授業の終わりには子どもたちに感想を書かせ、振り返りをさせたという。素直な気持ちが表現された感想の中には、20回うまくロボットが動かなくて、「もういいです」「うんざりです」と書いている子がいた。しかし、再チャレンジの授業を、地域で授業を支援してくださる方たちとともに行ったところ、ついにできたという。

そのときの感想はこのようなものだ。「ロボットが動いても止まらなかったけど、今日は◯◯さんが教えてくれたのでできました。うれしかったです。人に教えることもできました。赤外線センサーを250にするとなって、サーボモーターを60にしたら、できました。ロボットを動かすのは、とても楽しかったです」。

赤外線センサー等の専門用語を用いて説明し、また人に教えることができたというのは理解している証拠だ。本当に理解できたから、楽しかったのだろう。

こうした声など、副島先生の手元にあるファイルには、この1年で収集したプログラミングに関する膨大な資料と自分で作成した授業計画表、授業を通じて感じたこと、考えたことが沢山詰まっていた。

筆者は同小学校がプログラミング授業を開始した1年目にも訪問しているが、そのときには正直、1年生からいきなりタブレットでプログラミングをすることが必要なのかと少し懐疑的だった。フィンランドなどでは、絵本を通じてまずそのコンセプトを学ぶという国もある。しかし、今回成果発表を見て、1年生からの積み重ねが効いており、何より子どもたちが楽しんで無意識のうちにプログラミングを学べていることの利点を感じた。

プログラミング授業を支える7人の支援員

もちろん先生のやる気だけに任されているわけではない。先生を支える仕組みとして、同小学校では、地域から支援員を受け入れている。

同校には現在、7人の支援員がいて、月1回から2回、プログラミングの授業の際に学校の先生のサポート役として授業に入っている。7人はパートだったり、教員を定年退職した人だったり経歴はさまざまだ。1人1台デバイスを利用して授業を行っていることもあり、先生1人で1クラスを見るのは難しい。そこで、先生はその日のプログラミング授業の目的や内容を子どもたちに話しつつ、支援員はデバイスの電源がつかなかったり、先生の指示したとおりの画面になっていない子どもたちのサポートを行っている。

支援員の1人の40代の女性は、2人の小学生の子どもをもつ保護者だ。日頃はパートをしているが、「何か子どもや学校に携わることがしたい」という気持ちが湧き、この仕事をネットで見つけたという。現在、月に1~2回、平日午後にサポートを担当している。

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