デキない男が「相手とのすれ違い」に悩むワケ デキる人は相手の「時間軸」を重視して接する

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もう1人の別のデキるひとは、「未来軸」で考える女性。彼女は、部下との待ち合わせは先に現場に入って用意周到に準備したいタイプですが、変に気を使った部下に先に入られてしまうとペースが乱れてしまいます。そんな彼女の待ち合わせ術は、「○○のカフェにいるから、着いたら電話して」作戦。自分が先に待つのを前提にしてしまうことで、自分のペースを作る。実に賢いお作法です。

「過去軸」の持ち主は、待ち合わせに意味づけをするタイプ。前回相手が好きと言ったものをサプライズで用意したり、思い出の打ち合わせと同じシチュエーションで待ち合わせたりして、相手との心の距離を近づけて、主導権を握ります。

待ち合わせで大事にするのは、時間じゃなくて時間軸。相手との気持ちを近づけていかに主導権を握るかが、デキるひとの待ち合わせのお作法でした。

上司と部下のスレ違いも、時間軸のズレが原因?

上司と部下の関係も、時間軸の違いで気持ちのすれ違いが起きやすいもの。特に上司が部下の仕事に対して行うフィードバックは、部下の時間軸を考慮しないと気持ちのズレが生じやすい。ボクのコンサルを受けたある管理職の女性から、こんな相談を受けたことがあります。

「私の部下にすごくデキる人がいて、仲も良くて頻繁にコミュニケーションするんですが、どうしても仕事への姿勢がすり合わないというか……ズレちゃうんです」

「ひょっとして、2人の時間軸が違うんじゃないですか?」と詳しく聞いてみると、本人は将来のビジョンや目標達成に気持ちが向く未来軸、部下はみんなと一緒に仕事する過程を大事にしたい現在軸。

「部下に対して、目標に向けてもっと頑張ろうね、といった未来軸目線でフィードバックしてませんか? 小さいことでもいいから、今起きたこと、達成したことに対して評価してほしいんだと思いますよ」

そうお伝えした数日後、彼女から「いつもよりもっと腹を割って部下と話せました!」とうれしい報告が。ビジネス書によくありがちなのが、「リーダーたるもの、ビジョンやゴールを語れ」というアドバイス。デキるフリしたデキないオトコ上司は、本に書いてあるとおりのメッセージしか伝えませんが、本当にデキるひとは部下の時間軸に応じてフィードバックを使い分けていました。

デキないオトコは、相手との接し方がワンパターン。デキるひとは自分と相手の時間軸を見極めて戦略的に接し方を変えることで、すれ違いを回避していました。時間とは客観的なもののようで、とらえ方は人によって違うもの。デキるひとは、かの文豪が語った時間についての本質に気づいているのかもしれません。

時というものは、それぞれの人間によって、それぞれの速さで走るものなのだよ。
〜 シェイクスピア『お気に召すまま』より
タブ タカヒロ ビジネスコンサルタント、はたらく女性のかていきょうし

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たぶ たかひろ / Takahiro Tabu

東亜大学トータルビューティ学科客員准教授。外資系アパレル2社→MBA取得→コンサルティングファームという経歴で現在に至る。新卒でやたらと有能な女性の多い職場で女子力を鍛えられ、海外勤務も経験。MBA取得後、コンサルティングファームにて、男くさいロジックと競争の世界に翻弄され、一瞬自分を見失ったものの、土壇場で開眼。周りを巻き込み味方を増やしてわくわく仕事をするスタイルを確立。週末にライフワークとして行っている「はたらく女性のかていきょうし」は大人気の数カ月待ち。セミナー開催や、雑誌取材など多方面で活躍中。共著に『外資系コンサルはなぜ、あえて「手書き」ノートを使うのか?』(KADOKAWA)。

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