ハリウッドは"日本ネタ"を求めている ハリウッドと日本の"橋渡し役"奈良橋陽子氏に聞く

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「ディクショナリー」ではなく「アクショナリー」

――秘訣は?

日本の学校で習うようなやり方ではなかなか難しいですね。もちろん英文を理解することはできるとは思いますが。大切なのは、脳みそだけを使うのではなく、五感を使って英語を体感することです。それをわたしは「actionary」と呼んでいます。「dictionary」が辞書なら、「actionary」というのは体を動かしながら英語を理解していくこと。アクションで言葉を体得するというのが秘訣です。

奈良橋陽子(ならはし・ようこ)
千葉県生まれ。外交官の父の下、5歳から16歳までカナダ・モントリオールとオタワで育つ。大学卒業後はニューヨークのネイバーフッド・プレイハウスで演劇を学び「ヘアー」「Monkey」など数々の舞台を演出。ロックバンド「ゴダイゴ」の「ガンダーラ」「モンキー・マジック」などほとんどの楽曲の英語詞も担当。現在は海外の映画やテレビ作品のキャスティングと製作を主な業務としている。外国作品のキャスティングディレクターとしてのキャリアは、87年にスティーヴン・スピルバーグが監督・製作した『太陽の帝国』から。主な作品として『ラスト サムライ』『SAYURI』『バベル』、9月公開の『ウルヴァリン:SAMURAI』、冬公開予定の『47 RONIN(原題)』などがある。

「勉強しなさい。英語を習いなさい」と言われても、勉強したくないですよね。でも五感を通したものって、ものすごく印象に残るんですよ。頭だけでなく、心や体を使って。だから歌なんかもいいですね。好きな歌だとそれだけで発音も表現も覚えちゃいますから。そうすればすぐに英語が身に付くようになりますよ。英語に自信がつけば、それだけで楽しいじゃないですか。外国に出て話が伝わるとやっぱり違いますからね。

――いつもエネルギッシュな奈良橋さんですが、若い人たちに向けてアドバイスをいただけないでしょうか。

誰でも自分の中にきらりと光る部分を絶対に持っているはずです。それを発見していないだけ。たとえば趣味の話題などから「えっ? そういうこともやるんですか?」と話が盛り上がったりする。そうすれば相手にもあなたの印象が残ると思います。海外の方と仕事をしていくときには、ちゃんと自分はこういう人間であると自己紹介をするべきです。結局、対話をする相手は会社ではなく、個人と個人ですからね。

日本の文化は間違うことを恐れてしまう傾向がありますけど、アメリカではそうじゃない。だから堂々と間違っていいと思う。自分のことを伝えていけば相手と友達になれます。そうすればもっともっといろいろな仕事ができるようになる。人間は間違えたほうがいろいろ覚えていきます。確かに間違えた瞬間は滑稽かもしれないけれど、逆に相手との距離が縮まることもあると思うのです。

だからもっと自分に自信を持って、自分の伝えたいこと、表現したいことをもっと探っていくことが大切だと思います。若い人たちには本当に頑張ってほしいです。

(撮影:田所千代美)

壬生 智裕 映画ライター

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みぶ ともひろ / Tomohiro Mibu

福岡県生まれ、東京育ちの映画ライター。映像制作会社で映画、Vシネマ、CMなどの撮影現場に従事したのち、フリーランスの映画ライターに転向。近年は年間400本以上のイベント、インタビュー取材などに駆け回る毎日で、とくに国内映画祭、映画館などがライフワーク。ライターのほかに編集者としても活動しており、映画祭パンフレット、3D撮影現場のヒアリング本、フィルムアーカイブなどの書籍も手がける。

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