「花粉症対策スギ」の普及が進まない根本理由 すべて植え替えるには700年掛かる!

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いまや国民病ともいえる花粉症。花粉の舞う季節になると、罹患した人たちの生産性はいちじるしく低下する。はたで見ていても、GDP(国内総生産)成長率を数ベーシス(ベーシスは0・01%)は引き下げる、との冗談も真に受けたくなるほど。なかでも多くの人を苦しめているのがスギの花粉だ。

日本の森林率は約7割と、世界でもトップクラス。その中でもっとも広い面積を占めるのがスギ林で、実に国土の約2割に達する。もともとスギは育てやすく、成長も早い。戦争で荒れ果てたハゲ山を森に戻し、復興に向けた木材需要にも応えようと、1960年代からせっせと植林を進めてきた。それらの木々が50年を経たいま、収穫期に入っている。

現在のスギ林の8割超が樹齢30年以上

ただ、1966年当時に樹齢1~10年だった木々が、伐採・出荷に適した樹齢46~55年にまで育っていても、面積がそれほど減っていないことがわかる。これはつまり、収穫期に入った木であっても伐採が進んでいないことを意味する。

この背景には、安い輸入木材との競合にさらされ、伐り出しても採算が取れないため、放置されたスギ林が存在することがある。また高級木材とするために欠かせない、育成途中で必須となる枝打ちや間伐が後継者不足で行われず、木材として使い物にならないので捨て置かれた山。さらには植林をあまりにがんばりすぎたため、いまでは人が踏み込まないような山奥にまで植林は進み、伐り出すにも伐り出せないスギ林も多く残る。

スギは樹齢25~30年を経たあたりから花粉を放出し始め、その後、100年まで勢いは衰えることがないという。現在のスギ林の8割超が樹齢30年以上を経たスギで、これらが盛大に花粉を放出しているのだ。

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