「怒りを自ら作り出す人」の残念な思考回路 怒りを「大掃除する」効果的な方法

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平たくいうと、「あなたが食べるのは、あなたの自由だけど、私は食べません(反応しません)よ」というのです。実に合理的で明快な返し方だと思いませんか。

確かに、外の世界も、他人も、いろんなことを言ってくるし、よからぬ考えを向けてきます。でも、それに反応したら、自分の中に苦しみが生まれます。

その苦しみを長引かせるのが、妄想です。ひとの心には、記憶や、良しあしの判断、先行きへの不安や心配、社会にあふれる情報や話題など、妄想する材料は、いくらでもあります。

しかしそのままなら、怒りは、いつまでも続くことでしょう。

だからブッダに学んで、「怒りをつくっている妄想に気をつける」のです。

そこで、こんな心構えで日常を過ごしてみましょう。難しいけれど、練習です――。

・外の世界・相手に、妄想から入らない。「期待」や「判断」に走らない

・そうした自身の思いに、「これは妄想」と、まずは気づく

・不愉快な相手には、「あなたにとっては、そうなのですね(理解はできます)」という立場に立つ

妄想せずに、理解から入るように練習するのです。相手に対しても、どんなときもです。

「いざというときの考え方」を知っておくほど得をする

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「でも、そんなこと口に出したら、余計に怒られます」と言う人がいます。それはそうです(笑)。心の中でやってください。

また、期待も、求める心も、妄想も、決してマイナスだけではありません。やる気につながったり、仕事や人間関係に改善をもたらしたりと、プラスに働くこともあります。

ただ確実に必要といえるのは、問題が起きたときの「心の使い方」なのです。その点で、2500年の蓄積をもつブッダの知恵を、生かさない手はありません。

怒りをつくっている本当の原因に気づいて、正しい心の使い方に戻ること。

こうした心掛けで暮らしていけば、小さな怒りを引きずることは減っていきます。やってソンはありません。

練習次第で、心は変えられます。幸福、充実、軽快、満足という、もっと大切な心に向かって、いざ、精進!

草薙 龍瞬 僧侶、興道の里代表

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くさなぎ りゅうしゅん

1969年、奈良県生まれ。中学中退後、16歳で家出・上京。放浪ののち、大検(高認)を経て東大法学部卒業。政策シンクタンクなどで働きながら「生き方」を探求しつづけ、インド仏教指導僧・佐々井秀嶺師のもとで得度出家。ミャンマー国立仏教大学、タイの僧院に留学。現在、インドで仏教徒とともに社会改善NGOと幼稚園を運営するほか、日 本では宗派に属さず、実用的な仏教の「本質」を、仕事や人間関係、生き方全般にわたって伝える活動をしている。毎年夏の全国行脚や、経典の現代語訳の朗読 と法話を採り入れた葬儀・法事を行うなど、「もっと人の幸福に役立つ合理的な仏教」を展開中。著書に『これも修行のうち。』『反応しない練習』(KADOKAWA)、『大丈夫、あのブッダも家族に悩んだ』(海竜社)などがある。 

著者ブログ

感想・お便り:koudounosato@gmail.com

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