社長が公私混同する会社は成長余力が少ない 私利私欲が社員のやる気をなくしてしまう

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さらにもう1点。社長が「社員にいい思いをしてもらいたい」と思って頑張ると、社員にやる気が出て会社に活気が出る、これは事実です。しかし、それだけではまだ足りません。その会社と社員だけがいい思いをすればいいと考えると、お客様には「この会社は自分のことしか考えていない」「わがままで(利他でなく)利己のかたまりだ」という印象を与えてしまいます。

ですから、以下のように考えるのが望ましいでしょう。

・社長は自分の利益より社員の幸せ

・社員は自社の利益よりお客様の喜び

・会社はお客様への貢献だけでなく社会への貢献

「夜はネオン街で飲み歩き、毎日タクシーで帰宅する」

苦労して起業した創業社長ほど、こんな生活にあこがれたり、少しおカネに余裕が出ると実行に移したりする人が多いように感じます。しかし、自社の経営を伸ばすのに、それは本当に必要なことでしょうか。

本当に必要なことか見つめ直す

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私の顧問先のJ社は、歯科クリニックのサポートを業務としており、全国で大成功している歯科医と仕事をしていますが、「すぐにタクシーに乗る院長がいるクリニック」とは深い取引はしないそうです。すぐにタクシーに乗るような院長がいるクリニックは、利益が貯まらず発展しないことが経験上はっきりしているからです。

同じく急成長している顧問先のC社は、社員が100人、売り上げが10億円という規模の会社ですが、年間の接待交際費は20万円にも満たないそうです。この話を聞いて、私は接待交際費の本質を見た気がしました。

飲み食いをともにするから商品を買ってくれる、というお客様には限度があります。会社も毎月何人もの人は接待できません。むしろ、本当に自社の商品やサービスに魅力があれば、接待などをしなくても買ってもらえるはずなのです。逆に、自社に魅力がなければ、いくら接待をしても買ってもらえません。

もう一度、自社の経費を見つめ直してみるといいかもしれません。適正な経費の削減は、会社の利益を増やし、社員のやる気も引き出せます。

三谷 淳 未来創造弁護士法人 代表弁護士

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みたに じゅん / Jun Mitani

慶應義塾大学法学部法律学科出身。2000年弁護士登録後は横浜の大手法律事務所に勤め、数多くの裁判を手がける。このころ旧日本軍の爆雷国家賠償訴訟に勝訴し、数々のマスコミに取り上げられる。しかし、2006年に独立し三谷総合法律事務所(現・未来創造弁護士法人)を設立すると、裁判はたとえ勝訴しても、時間がかかり、依頼者に強いストレスをかけ、結果的におカネも回収できないケースが多いことに気づき、徹底的に交渉術や紛争予防法を研究する。1日5件、週に20件、年間1000件の交渉を実践し、「日本一裁判しない弁護士」と呼ばれるようになる。紛争の早期円満解決や予防は、トラブルを抱えるクライアントだけでなく、企業経営者からも絶大な支持を受け、現在では「経営を伸ばす顧問弁護士」として地域、業種を超えて全国各地の上場企業から社員数名の企業まで100社近くの顧問弁護士を務める。

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