社長が公私混同する会社は成長余力が少ない

私利私欲が社員のやる気をなくしてしまう

お恥ずかしい話ですが、実は、私自身が司法試験を受けて弁護士になろうとしたとき、そして独立して自分の事務所を立ち上げたときも、このような考えがありました。

私は決して裕福でない父と、倹約家の母の家庭で育ちました。勉強だけは得意だった私は、中学受験をして慶應義塾の中学校に進みますが、世はバブルの絶頂期。周りの友だちはカネ回りのよい家庭の子どもばかりで、私とはおこづかいの額が1ケタ違っていました。私は「うちの家庭は貧乏だ」というコンプレックスを感じる毎日を送っていたのです。

ですから、当時、合格率2パーセントの司法試験に最年少で合格した私は、「これでたくさんおカネを稼ぐことができる」「コンプレックスを払拭できる」と考えてしまったわけです。

事業を伸ばすには社員の力が必要

起業した当初は、働く動機がこのような「私利私欲」でも、がむしゃらに働けば売り上げは伸びていきます。しかし、早ければ1年、遅くとも5年でその伸びは必ず鈍化し、やがてスランプに陥ってしまいます。理由ははっきりしています。本当に事業を伸ばそうと思ったら、社員の力を借りなければなりません。いくら社長の能力が高くても、1人でできることは限られているからです。

経営を最速で伸ばそうと思ったら、できるだけ多くの社員に力を存分に発揮して働いてもらう必要があります。

社長が「金持ちになりたい」とか「楽をしたい」「高級車を買いたい」と考えて仕事をしていたら、そんな社長のために社員は一生懸命仕事をしようという気にならないはずです。

会社を大きくしたいのであれば、自分がいい思いをするために働くのではなく、社員やお客様にいい思いをしてもらうための努力が必要です。自分のためでなく、人のために働くことは「情けは人のためならず」ということわざでも表されますし、仏教の世界では「自利利他」というそうです。

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