チャンバラが多くの外国人を引き付ける理由 日本殺陣道協会は世界への教室展開を計画中

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木刀を使っての準備運動から刀の持ち方、殺陣の型・動作を練習した後、格好よく主役を演じてもらい、その姿を八木会長が動画撮影します。締めて約90分、「懐かしのチャンバラ体験コース」です。おじいちゃんのチャンバラ姿を見て「じいちゃん、かっこいい!」と声援するお孫さんもいます。世代間交流にも役立っているのです。お値段も3000円とお手頃なので、上々の滑り出しだそうです。

アイデアマンの八木会長は、刀は体だけでなく心も斬るものと考えました。大晦日にお寺の境内で刀を振って「煩悩切り」のイベントを開催したことがあります。NHKも取材に来てくれました。除夜の鐘とともに年末の風物詩になる可能性を秘めています。

八木会長は「今までの事業経験から、現在は良くても、いずれ悪い時がくると思っています。そのための対策を今から準備しておきたい」と言います。

ニューヨークへの進出も検討

シルバー対策も「煩悩切り」も、そうした準備の1つだと思います。かねてからの八木会長の夢は、「殺陣之道」という和の心を、広く世界に発信することでした。これが、インバウンド消費に陰りが見える現在、周到な準備にもなります。あちらが来なくなればこちらから打って出ればいい、という逆転の発想です。

八木会長の夢は世界各国にチャンバラ教室を開くこと(筆者撮影)

実際、ニューヨークに支店を開設しようと物件の下見にも行ったそうです。すごい行動力です。ただ問題は、外国人を指導する先生がいないことでした。

「あちらでは英語で指導しなければいけないのですが、なかなかそういう人材は育ちません」

そこで最近、裏技を考えつきました。日本に来た留学生を体験入学させ、みっちり勉強してもらえば、国に帰ってから立派なネイティブのチャンバラ指導員になれるのではないか。今は、そうした志のある留学生を探している段階です。

思いどおりに外国人の先生を育成できれば、世界各地で教室が開けます。そうすれば不測の事態が国内で起こっても、海外で下支えができ、経営も安定します。八木会長の夢は、そうした国々の教室に立ち寄り、殺陣の普及状況を見て回ることだそうです。ぜひ実現させて、日本の文化が世界に根付く様を見届けるすばらしい旅行になれば、と思います。

竹原 信夫 日本一明るい経済新聞 編集長

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たけはら のぶお / Nobuo Takehara

有限会社産業情報化新聞社代表取締役(日本一明るい経済新聞編集長)。1971年3月、関西大学社会学部マスコミ学科卒、同年4月にフジサンケイグループの日本工業新聞社に入社。その後、大阪で中小企業担当、浜松支局記者などを経て、大阪で繊維、鉄鋼、化学、財界、金融などを担当。1990年4月大阪経済部次長(デスク)、1997年2月から2000年10月末まで大阪経済部長。2001年1月に独立、産業情報化新聞社代表に。年間約500人の中小企業経営者に取材、月刊紙・日本一明るい経済新聞を発行している。
 

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