チャンバラが多くの外国人を引き付ける理由 日本殺陣道協会は世界への教室展開を計画中

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先日(2017年2月20日)、テレビ東京系の「YOUは何しに日本へ?」でも当協会が取り上げられました。大阪は心斎橋あたり、一見なんの変哲もない雑居ビルの中に、ガイジンが次々と吸い込まれて行く不思議な光景が映し出されました。

実はその建物、協会が3階に入居しているのです。国籍は、香港、台湾、スペインなどさまざまですが、アジアからの観光客が目立ち、八木会長の「当初は欧米の方が多かったですが、最近は、アジアの方に人気です」の言葉が実感できました。

元カメラマンが日本殺陣道協会の会長になったワケ

「八木会長も立ち回りをされるんですか?」と聞いたら、「いや、私はカメラマンです」と言われます。実は八木会長、以前はTBSの報道カメラマンだったそうです。そして生粋の東京っ子。それが何故、大阪で殺陣道を始めたのでしょうか。意外な転身の経緯を淡々と語ってくれました。

八木会長をくの一牡丹と赤兵衛が囲む(筆者撮影)

「30代後半になって、東京アナウンス学院という系列の専門学校に異動になりました」

当初はアナウンサー、ナレーターの養成に特化していましたが、どうもそれだけでは面白くないと「声優科」を創設。当時、あまり注目されていなかった声優の養成を始めます。これが声優ブームを先取りした形になり、大いに繁盛しました。八木会長はどうも“人がやってないこと”に興味があり、それが結果として時代の先駆けとなるようです。「周囲からはボロクソに言われましたが、理解ある学院のトップがやらせてくれました」(八木会長)。

それから、新規事業で地方に系列学校の設立を提案したら、提案者自ら行け、ということで、思ってもいない大阪勤務になりました。先に述べた菊地剣友会の菊地代表を頼りに、殺陣を教える学校を作ろうと考えます。殺陣は言わば、剣道とお芝居の中間といった存在で、こうした貴重な「ちゃんばら」文化を残したい、との思いでした。2年ほどしてそろそろ経営も軌道に乗りそうだ、という矢先、いつも後ろ盾になってくれていたトップが死亡します。そうなると、資金援助は削減され、教室も閉めざるをえない状況になりました。

しかし、ようやく形ができつつあった殺陣の学校を潰すのはもったいない。ちょうど定年を迎えたので、思い切って大阪で第2の人生を始めることにしました。家賃の安い場所に道場を移し、新たなスタートを切ります。縁もゆかりもなかった大阪に住民票も移し、腰を据えた取り組みが始まりました。「大阪は東京に比べ物価も安いし、人情も厚い。住みやすくていい所です」と八木会長。大阪生まれ、大阪育ちの筆者などは、そう言われるとついうれしくなってしまいます。

なお大阪の生徒さんは、斬るよりも斬られるのが好きだそうです。バッサリ斬られて大げさに倒れるのがうれしいらしく、実に大阪人らしいと思いました。

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