日本ではなく「アジア」へ就職するという選択 間違いなく困難は多いがメリットもある

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日本企業の海外現地法人数は、増加傾向にあり、特にアジアへ進出する企業の伸びは他の地域と比べてみても顕著であると言えます。また、30社を超えるアジア現地日系転職エージェントへのインタビュー調査を行ったところによると、これらの日系企業の現地法人では日本人の現地採用を進めたいとの意向もあり、日本人の人材需要は旺盛となっています。

大手人材紹介会社アデコがまとめた「将来、海外で働くことを希望するか?」という意識調査によると、韓国、ベトナム、タイ、マレーシアといった国々と比べて、日本人の海外で働きたいという意欲は圧倒的に低くなっています。このことから、海外における日本人の人材供給面で見たとき、需要に比べて、供給面で追い付いていないことがうかがえます。

ここまで、労働市場におけるグローバル人材の需要と供給面で考えた場合、現地採用として雇われた場合であっても給料面の待遇は良くなっていくことが考えられます。実際、数年にわたってアジアでの日本人の現地採用の給料を調査した結果、上昇傾向となっている国が多いです。

さらに付け加えると、現地で英語を使ってマネジメントを数年経験した人材は非常に希少な人材として、海外就職の転職市場のみならず、日本の転職市場でも重宝されます。数年後、田中さんが日本での事務職というキャリアのままで転職を検討した場合と、今回のアジア就職を経てから転職を検討した場合では、選択可能なキャリアの幅や得られる待遇には圧倒的な差が生じていることが予想されます。どうやら、キャリア戦略上のゴールを「経済的な自立」と仮定した場合、「アジア就職」を果たした田中さんは、【第2条件】「費用対効果を最大化する」という条件も満たしそうです。

さて、最後は「アジア就職」が【第3条件】「実行可能である」を満たしているかについて考えてみましょう。

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