「交渉ベタ」が知らずに踏んでいる3つの地雷 問題は「スキル以前」にあった!
なお、交渉といっても必ずしも取引先との交渉に限りません。社内での部下や上司とのMBO(目標管理)面談も一種の交渉ですし、他部門の協力を取り付けるための会議も広い意味での交渉です。今回はビジネスシーンの話に限定しますが、たとえばプライベートで奥さんや旦那さんと何か決め事をするのも交渉の一種です。
地雷(1)交渉という営みに対する理解の浅さ
まず、第1の地雷である、交渉という営みに対する理解の浅さから説明しましょう。特に多いのが、交渉とは自分が何かを得た分、相手は損をする(逆に、自分が失った分、相手は得をする)ゼロサムゲームと考えてしまうというものです。海外の土産物店での1回かぎりの価格交渉など、実際にそれに該当する交渉もあります。こうした交渉では、交渉相手は敵であり、敵を痛めつけることこそが自分の成功になります。おのずと交渉に臨む態度も、程度の差こそあれ敵対的になります。
しかし、実際のビジネスシーンでは、そのようなゼロサムゲームは少なく、交渉次第で双方にとってプラスになるプラスサムゲームであることが多いものです。つまり、お互いに「自分にとってはあまり大事ではないけど、相手にとっては大事なこと」を譲歩し合うことで、Win-Winの結果が得られるのです。
たとえば先方が納期に非常にこだわる一方でそこまで価格についてはこだわっていない一方、自分はしっかり利益を確保したいのであれば、「納期は厳守しますから、その代わり納入価格を少し上げさせてください」といった交渉ができるわけです。
そのほかにも支払い条件や納品の条件、交渉の更新条件など、相互に重要度が異なる項目はいくらでもあるはずです。それを見いだし、お互いに「ここは自分が譲るから、こっちは何とかならないですか」と交渉を進めることで、お互いのメリット(交渉の用語では「利得」といいます)を最大化することができるのです。
ビジネスにおける交渉では「Win-Win or No Deal」という有名なフレーズがあります。Win-Winを模索する交渉にならないのなら、そもそも妥結しないほうがましだ、といった意味合いです。こう考えると、交渉相手は敵対者ではなく、おのずと問題解決のパートナーとなります。一緒に問題解決をするからこそ、より良い合意にたどり着き、お互いの利得の合計が増すのです。
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