「トンデモ」な健康情報には見分け方がある 出てきたら「怪しい」と疑うべき言葉はこれだ

拡大
縮小

○体内除染

デトックスに関連して、体内に取り込まれた放射性物質を、分解あるいは排除すると称した製品・食品成分なども、一時期話題を集めました。まず、放射性物質は元素ですので、「分解」はできません。崩壊を速めて消し去ると称した製品もあったようですが、放射性元素の崩壊速度を速める方法は存在しません。

体内に入ったセシウムなどを、選択的に吸着して一緒に体外に出してくれる成分は、原理的にありえます。ただし、リンゴのペクチンという成分がセシウムを吸着するという人もいましたが、実験の結果そうした効果は確認されませんでした。その他、放射能を除去すると称したサプリなどは、ニセモノと断定して差し支えないでしょう。

インチキ療法の施術者にとって便利な言葉

○好転反応

健康食品や各種医療法によって、下痢や発熱、頭痛などの体調不良が現れた場合に、「好転反応」という言葉が使われることがあります。健康法が効果を表し、毒が体内から排泄される過程で起きる一時的な現象であり、その不調を乗り越えれば健康になれると説明されることが多いようです。

しかし正式な医学用語の中に、「好転反応」という言葉はありません。また前述のように、「毒を排出する」という概念自体が怪しいわけですから、そのせいで体調が悪くなるなどという話も根拠はないといえます。

好転反応という言葉は、その医療法に効果がないことや、副作用が出たことを覆い隠すために用いられていると思えます。何の効き目もない健康法を施し、よくなればその方法の手柄、悪くなれば好転反応と言い張り、やがて自然に体調がよくなるのを待てばいいわけですから、インチキ療法の施術者にとって好転反応ほど便利な言葉はありません。

○水素

水素を含んだ「水素水」「還元水」なるものも流行しています。水素には還元力があるので、活性酸素をつぶして老化などを防いでくれるという触れ込みです。しかし、世に出回る「水素水」に含まれる水素はごく低濃度であり、何らか効果が期待できるとは思えません。「水素陰イオンを含む」と称した製品もありますが、これは水とすぐ反応して消えてしまうため、ウソッパチと言い切れます。水素サプリなるものも、成分を見るかぎり体内で水素が発生するとは考えられないものがほとんどです。

次ページ「学会で発表」は信頼の根拠となるのか
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT