人工甘味料を「危険」と決めつけるのは問題だ 「ノンカロリーだから安心」とも言えないが…
甘みという味覚は、人類にとって何よりも欠かせぬ味わいです。塩味やうま味も快い味わいですが、これらはある一定の濃度を超えると不快に感じてしまいます。しかし甘みにはそうした限界がなく、いくらでも食べられるという性質があります。
甘いものを食べて快感を得る人類
糖分は、体を動かすために不可欠なエネルギー源となります。このため、甘いものを食べると快感を得られるように、人体は進化したのでしょう。つねに十分な食料が得られない時代が長く続きましたから、食べられるときにできるだけ食べられるよう、歯止めがかからないような仕組みが出来上がったのかもしれません。
しかし、飽食の時代となった現在では、糖分の摂り過ぎは深刻な健康問題となっています。肥満や糖尿病は、生命に関わるさまざまな疾患を引き起こし、寿命を縮めます。特に糖尿病は、血液中にあふれ出したブドウ糖が、体内のタンパク質などさまざまな場所に結びついて機能を失わせ、多くの合併症を引き起こす恐ろしい病気です。
しかしそうわかってはいても、甘いものへの誘惑は断ち切り難いものです。そこで人類が生み出したのが、人工甘味料です。砂糖の何倍も甘いのに、体内に吸収されず、まったくカロリーにならないという物質群です。
これまでに多くの人工甘味料が発見され、用いられてきました。それらの中には、毒性や発がん性のために消えていったものも数多く存在します。たとえば19世紀に発見されたズルチンは、発がん性があることがわかって使用が禁止になっています。かつて広く用いられた甘味料チクロも、発がん性などが疑われたため、日本では使用が禁止となりました。
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