たとえば、広告代理店に勤務しているFさんは入社8年目で年収は650万円。それなりの処遇であると感じていましたが、給与情報の公開で自分の上司が1000万円以上もらっていることがわかりました。すると、
「あの上司が1000万円もらうくらいの仕事をしているとは思えない」
と感じて、上司の仕事ぶりにイラッとする感情が起きることが増えたようです。自分より遅く出社して、自分より早く帰ることも頻繁。さらに勤務時間に何をしているのか、わからない時間帯が多い。自分より高い給与をもらっているなら、それを納得させる仕事をしてほしい……と厳しい態度を示すようになったとのこと。ついには、
「高い給与をもらっているのだから、お願いしますよ」
と上司が気分を害するような発言までしてしまったようです。こう考えると、上司の給与情報など知らないままにしておいたほうがよかったのかもしれない気がします。
給与差を意識して働くきっかけに
ただ、上司が部下との給与差を意識して働く機会につながると考えれば、プラスの効果につなげることもできます。これまでよりも周囲の目を意識して、上位職に緊張感が生まれ、働き方が変わるとすれば、貴重な転換ともいえます。
取材した広告代理店の上司も、部下からの厳しい視線を意識して、マネジメントをきめ細かく行うように努めているとのこと。あるいは、取材した別の会社では、給与公開のあとに抜擢人事や降格人事がスムーズに行われるようになったとのこと。仕事の成果から考えた得るべき給与に関して、社内で相場観が生まれたようです。
このように当初はマイナスの影響も多いかもしれませんが、報酬に見合う仕事をする努力をする機会にするべく、時間をかけて継続していく覚悟をもつべきかもしれません。
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