「人の給与が丸わかり」になるのはいいことか 嫉妬や怒りの先に前向きな効果が生まれる?

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たとえば、広告代理店に勤務しているFさんは入社8年目で年収は650万円。それなりの処遇であると感じていましたが、給与情報の公開で自分の上司が1000万円以上もらっていることがわかりました。すると、

「あの上司が1000万円もらうくらいの仕事をしているとは思えない」

と感じて、上司の仕事ぶりにイラッとする感情が起きることが増えたようです。自分より遅く出社して、自分より早く帰ることも頻繁。さらに勤務時間に何をしているのか、わからない時間帯が多い。自分より高い給与をもらっているなら、それを納得させる仕事をしてほしい……と厳しい態度を示すようになったとのこと。ついには、

「高い給与をもらっているのだから、お願いしますよ」

と上司が気分を害するような発言までしてしまったようです。こう考えると、上司の給与情報など知らないままにしておいたほうがよかったのかもしれない気がします。

給与差を意識して働くきっかけに

ただ、上司が部下との給与差を意識して働く機会につながると考えれば、プラスの効果につなげることもできます。これまでよりも周囲の目を意識して、上位職に緊張感が生まれ、働き方が変わるとすれば、貴重な転換ともいえます。

取材した広告代理店の上司も、部下からの厳しい視線を意識して、マネジメントをきめ細かく行うように努めているとのこと。あるいは、取材した別の会社では、給与公開のあとに抜擢人事や降格人事がスムーズに行われるようになったとのこと。仕事の成果から考えた得るべき給与に関して、社内で相場観が生まれたようです。

このように当初はマイナスの影響も多いかもしれませんが、報酬に見合う仕事をする努力をする機会にするべく、時間をかけて継続していく覚悟をもつべきかもしれません。

高城 幸司 株式会社セレブレイン社長

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たかぎ こうじ / Kouji Takagi

1964年10月21日、東京都生まれ。1986年同志社大学文学部卒業後、リクルートに入社。6期トップセールスに輝き、社内で創業以来歴史に残る「伝説のトップセールスマン」と呼ばれる。また、当時の活躍を書いたビジネス書は10万部を超えるベストセラーとなった。1996年には日本初の独立/起業の情報誌『アントレ』を立ち上げ、事業部長、編集長を経験。その後、株式会社セレブレイン社長に就任。その他、講演活動やラジオパーソナリティとして多くのタレント・経営者との接点を広げている。著書に『トップ営業のフレームワーク 売るための行動パターンと仕組み化・習慣化』(東洋経済新報社刊)など。

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