日本では全社員の給与公開まではさすがに難しいですが、賞与決定のロジックや報酬体系については適正に公開すべきと考える企業が増えつつあるようです。役職や社歴などから計算すれば、大枠の給与は推察できますが、個別情報としては開示しない……まさに日本らしく給与情報の「チラみせ」までが進もうとしています。
有名なのがユニクロなどを展開するファーストリテイリングです。各グレード(等級)における平均年収だけではなく、最低年収と最高年収を公開、文字どおり給料をオープンにしています。最もグレードが高いのはK-4で年収2億4000万円。スーパースター店長で年収3000万円を超えることも。
新卒入社の社員はJ-1からスタートし、平均年収は390.3万円。店舗社員は店長に昇格するとS-2となり、最短23歳で平均年収630.6万円となるとのこと。そこから、数千万円クラスに到達する人は何人いるのでしょう。
同社のように社外に向けて大々的に広報はしていないものの、社内では等級別の報酬体系などを全社員に公開している会社は増えています。当方が取材した小売業ではアルバイトから役員まですべての役職の報酬体系を知ることができる一覧表が、社内のイントラネットで公開されていました。当然ながら社員たちからのアクセスが非常に多く、社内での注目度は高い状態が続いているようです。
社員はどう受け止めるか
では、こうした給与公開の動きを社員たちはどのように受け止めるのか? これまで知らなかった情報を知って、波紋が起きているケースがたくさんあるようです。取材した製造業では、数年前まで自分の給与情報以外には何も開示されていない状態でした。ところが新しい報酬制度を導入して、等級別の報酬体系を全社員に開示したところ、波紋が起きました。
ちなみにこの会社は管理職が複雑に存在していて、組織の管理をしている課長、部長以外に副部長、次長、部長代行という肩書が存在しています。こうした肩書について、給与情報の公開がされると気になる社員が増えたようです。具体的には
・副部長って何をしている仕事?
・次長よりも自分のほうが仕事をしている気がします
などなど、上席者に対する不満が爆発したのです。
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