児童相談所の現場では何が起きているのか

支援の前に知るべき当事者たちの現実

本書『ルポ 児童相談所』で取り上げられているのは、児童相談所とその中の施設である一時保護所である。虐待や問題行動、親が養育困難などさまざまな理由で親から離された子どもは、まず、児童相談所に併設されている一時保護所というところに入る。そこで処遇が決まるのを待つことになるのだが、ここでの生活がいかなるものか、この本を読むまで知らなかった。

傷ついた子どもたちがまず入る場所で

「児童の保護」の入り口にある一時保護所。まずはここに入った後で、再び家庭に戻るのか、児童養護施設へいくのか、里親に預けられるのかなどの将来が決まる。その前に、傷ついた子どもたちがまず入る場所である。なんとなく、温かく迎え心を癒やすところのようなイメージをもっていたが、それはまったく違っていた。

筆者は一時保護所の実態を知るために10カ所弱の一時保護所を訪問し、いくつかの保護所では子どもたちとともに住み込んで話を聞いている。あらかじめ誤解のないように言うならば、まさにピンからキリまでで、保護所にも格差があり、なかには全力で「子ども第一」の取り組みをしているすばらしい一時保護所もあったということは筆者も繰り返し述べている。

そのうえで、場所が特定されないように複数の保護所の状況を組み合わせて描かれた、保護所における子どもたちの日常とは、はたしてどんなものか。

“ 多くの一時保護所では、窓が5センチメートル程度までしか開きません。なぜそうしているのかと質問しましたが、答えはつねに同じです。「子どもたちが脱走しないためです」”
“子どもたちは裸足でも靴でもなく靴下をはいて過ごさなくてはなりません。(中略)「それは子どもが逃げ出しにくいようにしつつ、仮に逃げ出したときも捕まえやすいようにですよ」”
“テレビを自分たちでつけることは許されません。必ず職員に「テレビをつけてください」とお願いしなくてはなりません。子どもたちが事あるごとに「お伺い」をするのも、ここでの生活の特徴です。(中略)学習部屋に行こうとするときには、職員に「入ります」と言わなければなりません。トイレに行く時には「トイレに行ってきていいですか」と職員に言わないといけません。”
“一人当たりの入浴時間はたったの15分。ゆっくり湯船に浸かることは許されません。”
“自由時間に使う紙の枚数も、厳格に管理されています。(中略)紙には通し番号が振られており、遊び終わったら紙を回収します。それを職員が数えて、すべてそろっているかを確認します。”
“完全消灯になった後も、しばらくの間職員たちは部屋の外に無言で立っています。子どもたちと話すようなことはほとんどなく、監視しているかのような異様な光景です。”

 

一時保護の決定がなされた子どもは、ある日突然ここへ連れてこられることになる。同級生に別れを告げることもできず、まるで神隠しにでもあったかのように姿を消すことになるのである。自分の愛着のある品を持参することも許されない。おもちゃや縫いぐるみも禁止。入所するときには着ていた服まで取り上げられ、保護所内にある服から選んでそれを着ることになっている所も多く、なかには下着のパンツまで保護所のものを着なくてはならず、しかもそれには番号が振ってあるという。

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