どの仕事をやっているときが自分にとって心地いいかを、徹底的に考えます。良しあしではなく、安定志向か挑戦志向のうち、どちらが自分がよいかを考える。そこを間違うと、人生を間違ってしまいます。規制が嫌いなのに、銀行に入って悩んでいる人はいくらでもいます。また、自由の中で絵を描くのは苦手だけど、商社にいる人もいます。
2つ目の軸の職種について、世の中の仕事は3つしかないと考えます。「マーケター」「企業間の法人営業」そして「管理部門」。その中で自分がどれに向いているのかを見極めていきます。体育会の主将なら、気合もあるから、大企業の法人営業で頑張れます。
一方、少し人と違う意見を言う人や、好き嫌いがあり自分のテイストを持っている人は、マーケターが向いています。法人営業は企業との取引で、製品の価格と良しあしで決まるが、マーケターはそうはいかない。個人はそれに加えて、好きか嫌いかで物を買います。論理的思考力にプラスして感性が必要。この感性というのは大学の評価項目にはありません。その人の趣味でやってきたこと、小さい頃からピアノ続けたとか、「○○マニア」がもつような、こだわりを生かすことができます。
管理部門の経理のような仕事は、人前に出て引っ張るタイプではないが、堅実性があって間違いが嫌いで責任感がある人が向いています。
親の言う「いい会社」は30年前だ
3つ目の軸が「自分の身の丈」。頑張ってトヨタ自動車にビリで入りました、東京海上日動火災保険にビリで入りました。そういう人がその後、活躍しているかというと、そうでない人が多いです。やはり身の丈に合ったところに行くのがいちばんいい。そうした会社のほうが大切にしてくれます。それを考えると、BtoBの部品、素材、運輸、倉庫、建設といったあたりに、大切にしてくれる会社がある。さらに採用数が1ケタの会社で、業績が良いところがいちばんいい。ひとりの”大切にされ度”が違います。
業界選びは3業界くらいに絞って、それぞれに5社くらい、3×5=15社くらいのポートフォリオが3月前までに作られていれば、準備の8割はできた感じです。3月に入ってから、その業界や企業にあたっていく。やはり体感しかありません。会社説明会やOB訪問といった現場に行き、合うかどうか、やっていけるかを身体で感じることです。
――学生の間では、みんなが知っているようなブランド企業への内定を決めて自慢したい、と思っていませんか。
それを”見栄係数”と呼んでいます。見栄係数が高いと人生を誤る。そもそも「周りがチヤホヤしてくれるのは内定が取れた1週間だけ」といっています。入社後その業界だけで生きていくということを考えてほしい。有名企業の中にはできる人がぎっしりいて、あなたを将来大切にしてくれないかもしれない。見栄係数と戦わないと。
――親も自分の息子が有名企業に入ることを自慢したいというマインドが働きませんか。
親は30年前の「いい会社」を言っています。子は30年後も生きていくのです。親に従っていたら、キャリアの後期は合計60年分、間違った選択をすることになります。
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