「内定自慢」の就活は、人生設計をしくじる 周りがチヤホヤするのは内定後1週間だけ

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――著書の中で「就活はゲーム」という言葉があります。その意図はなんでしょうか。

真剣さでは、大学受験のときより就活のときのほうが甘い、と言わざるをえません。命を懸けるほど真剣にやっていないからです。大学受験は4年間を左右する選択で、就活の選択は40年を左右することになり、はるかに大事です。人生計画において就活が大事だということをわかっていないといけません。

一方、1人当たり20社程度は、入社試験に応募をします。就活生と採用者数が同数だと仮定すれば、全員が20社受ければ20倍の競争率になります。どんどん落ち続けます。それをゲームだと思ってやっていかないとつらくて挫折してしまいます。9社落ちても、10社目で受かればいいのです。一回一回はゲームでも、最後に勝てばいいのです。

「この人の生き方なら大丈夫か」を見ている

西山昭彦(にしやま あきひこ)/一橋大学特任教授。博士(経営学)。一橋大学卒業後、東京ガス入社。法政大学客員教授、東京女学館大学教授を経て、2013年より現職。三菱商事の社外取締役なども務める。著書に『西山ゼミ就活の奇跡』『受かる!西山式内定バイブル』など多数(撮影:風間仁一郎)

――面接で注意することは何でしょうか。

面接では「ある経験を通して壁にぶつかったが、創意工夫をして頑張って乗り越え、そしてその後の生き方が変わった」という話を求めています。アイテムの大小は関係ない。しかし、みんな教訓のところを、言い忘れてしまっています。「部活で優勝しました」で終わりです。部活をやった中で、どんな壁に当ったのか、そしてそれをどう乗り越えたのかを言えばいいのです。そもそも仕事にはそうした部分が含まれている。経験の話を通して「仕事で困難にぶつかっても、この人の生き方なら大丈夫だ」というのを採用担当者たちは見ています。

――就活には必要な力が3つあると指摘されています。

「考える力」「見せる力」と、そして「動く力」が必要になります。考える力は論理的思考なので、日頃の訓練で伸びます。最初にお話しした「就活ノート」を使って頑張って考えていけば、かなりリカバーできます。見せる力はプレゼンの練習なので、学生同士で練習するといいでしょう。そして動く力はセミナーや職場を回っていく。汗をかくこと。2つをバランスよくチェックしていくことでしょうね。

――就活生にアドバイスがあるとしたらどんなことがありますか。

エントリーシートは何度も書き直し、社会人か内定者に1回見てもらいましょう。社会人の目で見ることが必要なのです。また、1社ごとにバージョンが変わるので、ファイル管理というのがすごく大事になってきます。忘れたり、面接に行く際に手元になかったり、古いバージョンだったりすることがあるので、ファイル管理は大事です。

また、業界ごとに内定を出す時期が違うので、時期別の戦略を作るべきでしょう。ITソリューション業界や建設などが比較的早い。3月中にエントリーシートを締め切るところもあるので、その業界に興味がある人は早めに始めたほうがいいでしょう。そもそも「6月選考開始」を守っているのは一部しかない状況ですから。

私は今まで1000人以上の学生のサポートをしてきました。最後まであきらめないことが、その人の能力です。皆さんも続けることを忘れないでください。

宇都宮 徹 東洋経済 記者

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うつのみや とおる / Toru Utsunomiya

週刊東洋経済編集長補佐。1974年生まれ。1996年専修大学経済学部卒業。『会社四季報未上場版』編集部、決算短信の担当を経て『週刊東洋経済』編集部に。連載の編集担当から大学、マクロ経済、年末年始合併号(大予測号)などの特集を担当。記者としても農薬・肥料、鉄道、工作機械、人材業界などを担当する。会社四季報プロ500副編集長、就職四季報プラスワン編集長、週刊東洋経済副編集長などを経て、2023年4月から現職。

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