今年も元旦恒例「ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団ニューイヤーコンサート」のテレビ放映が行われた。おせち料理を突つきながらコンサートを楽しんだ方も多いのではないだろうか。
この華やかなニューイヤーコンサートで毎年話題となる“今年の指揮者”は、1981年ベネズエラ生まれの俊英グスターヴォ・ドゥダメル。75年以上の歴史を誇る同公演の中でも最も若い指揮者の登場だ。ヘルベルト・フォン・カラヤン(1987年出演)やカルロス・クライバー(1989年&1992年出演)、小澤征爾(2002年出演)、それぞれの時代を象徴する大物指揮者たちが名を連ねてきたこのステージにドゥダメルが登場したということは、すなわち彼が今後のクラシック界の顔であることを象徴したような出来事だ。
ちなみにウィーンのムジークフェラインザールで行われたコンサートのもようは世界90カ国以上で放映され、5000万人以上が視聴したと報道されている。1月末には早くもライブCDが発売になる予定なので、観逃した方はぜひご体験あれ。さてさて、2017年のクラシック界はいったいどのような方向に進むのだろう。
「エル・システマ」の輝かしい成果
まずはドゥダメルの名が出たところで、彼を世に送り出したベネズエラの音楽教育システム「エル・システマ」をチェックしておきたい。ベネズエラの子どもたちに音楽教育を施すことで犯罪から守ることや、犯罪を犯した子どもたちを更生させる目的で1975年に始められた「エル・システマ」。この画期的な音楽教育システムから生まれた青少年オーケストラの数は、ベネズエラ国内に200以上も存在する。
その中の選抜メンバーによって構成される「シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ」の指揮者として頭角を現し、世界中から注目された存在がドゥダメルだ。彼の実力もさることながら、「エル・システマ」という教育システムがすばらしい。このシステムは世界中に波及し、いまやクラシック界の大きな潮流の一つになりつつある。
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