さて、指揮者といえば、もう一人チェックしておきたい存在が、世界最高峰のオーケストラ、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の次期芸術監督に内定しているキリル・ペトレンコだろう。
1972年ロシア生まれのペトレンコは、昨年までワーグナーの聖地バイロイト音楽祭で活躍していた話題の指揮者といわれても、一般の音楽ファンにはまったく未知の存在だ。
それがいきなり“世界最高峰のオーケストラのシェフ”に指名されたのだからびっくり。どんな指揮者なのだろうと調べてみても、録音すらほとんどない状況だ。
“とにかくすごいらしい”といううわさばかりでベールに包まれた謎の指揮者ペトレンコが今年ついに初来日を果たす。現在、音楽総監督を務めているバイエルン国立歌劇場を率いた9月の来日公演でワーグナーのオペラ『タンホイザー』を披露する予定。ペトレンコの真価やいかに!? 話題のテノール、フローリアン・フォークトも登場するこの公演は、この秋のクラシック界最大の話題になりそうだ。ちなみにペトレンコのベルリン・フィル芸術監督就任は2018年の予定である。
今年のメモリアル作曲家は?
さて、クラシック界で毎年話題になるのがその年のメモリアル作曲家。昨年は日本の武満徹(1930~1996)の没後20年で盛り上がったことが記憶に新しいところだが、今年はいったいどんな作曲家の年なのだろう。
まずは生誕450年のイタリアの作曲家クラウディオ・モンテヴェルディ(1567~1643)。ルネサンスからバロック時代にかけて活躍した彼の作品は、後に続くヴィヴァルディやバッハにも大きな影響を与え、現在演奏されているオペラの中で最も古い作品だといわれている。その代表作は『オルフェオ』『ポッペアの戴冠』などのオペラのほか、『聖母マリアの夕べの祈り』など宗教曲にも名作が多い。
生誕150年を迎えるスペインの作曲家エンリケ・グラナドス(1867~1916)もチェックしておきたい作曲家の一人だ。実は昨年が没後100年の年にあたっていたのだが、もうひとつ盛り上がらなかったのが寂しいかぎり。生誕150年の今年こそは彼の作品をもっと多くの人に聴いてほしい。その代表作としては、『スペイン舞曲集』や『ゴイェスカス』などのピアノ曲のほか、『トナディーリャス』などの歌曲集もすばらしい。グラナドスに限らず、スペインの作曲家とその作品の数々は、今後間違いなく再評価が進むはずだ。
さらには、没後250年のドイツの作曲家ゲオルク・フィリップ・テレマン(1681~1767)にも注目したい。バッハやヘンデルとともにバロック時代を牽引したテレマンの作品の中では『ターフェル・ムジーク』がお薦めだ。その名(食卓の音楽)のとおり王侯貴族の食事のBGMとして作曲されたこの曲は優雅の極み。おいしいワインをいただく際のBGMとして試してほしい。
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