今年前半の大きな話題はといえば、共に13回目を迎えるクラシックの祭典「東京・春・音楽祭」と「ラ・フォル・ジュルネ音楽祭」だろう。上野の街を音楽に染め上げる「東京・春・音楽祭」の会期は3月16日~4月16日までの1カ月間。音楽の殿堂・東京文化会館を中心に、美術館や博物館のほか、上野公園内やその周辺で行われる有料無料合わせて150公演余りのステージにはクラシックの楽しさが満載。上野の桜と併せて楽しめるところがポイントだ。
今年は新たに東京藝術大学奏楽堂での公演も決定。話題の本『最後の秘境 東京藝大:天才たちのカオスな日常』(二宮敦人著)の舞台である東京藝大キャンパスをのぞきに行くのも楽しそうだ。
一方、ゴールデンウイークを彩る「ラ・フォル・ジュルネ音楽祭」2017年のテーマは「ラ・ダンス 舞曲の祭典」。“太古の昔より、人が踊るところにはいつも音楽が奏でられていた”という切り口の下、ルネサンスから今に至る600年の歴史の中で育まれてきたダンス音楽に焦点が当てられる。
今年は東京のほか、琵琶湖と新潟の3都市で開催(昨年までの開催都市・金沢は「いしかわ・金沢 風と緑の楽都音楽祭」として再出発)。通常のコンサートとは一味違う“クラシックのテーマパーク”的音楽祭の魅力を存分に味わってほしい。
サントリーホール休館の影響やいかに
昨今のクラシック界の話題として頻繁に語られているのが「ホール問題」。2016年から続くホールの閉鎖や改修工事に伴う休館によってどのような影響が出るのだろう。
今年の動きの中でクラシックに直接関係があるのは、相次いで改修工事が行われるサントリーホール(2017年2月~8月まで休館)と神奈川県民ホール(2017年7月~2018年3月末まで休館)。日本一の稼働率を誇るサントリーホールと、横浜エリアにおけるオペラやバレエを中心とした舞台芸術の殿堂・神奈川県民ホールが使えない期間は、定期公演やオペラ公演などをほかのホールに移すしかなく、主催者にとってはかなり頭の痛い事態となっているに違いない。それでも、昨年発売された『音楽の友』誌9月号の特集「来日演奏家速報2017」を見るかぎり、コンサートの数は例年と比べてまったく遜色ないように見受けられる。
ではいったい何が今後の課題なのだろう。コンサートのチケットやCDの売り上げ向上を含むクラシック界全体の活性化を思えば、今必要なものは圧倒的な魅力を持つスーパースターの存在だ。その意味でも、冒頭で紹介したドゥダメルとペトレンコには大きな期待が寄せられる。
次の時代を担うスーパースター誕生の兆し、それを感じられる年が2017年であることを願いたい。
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