マックは、なぜ「コーヒー刷新」を決めたのか エチオピア産豆を追加、価格据え置きで勝負

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2017年はまだ限定ハンバーガーを投入していない。1月6日から「第1回マクドナルド総選挙」と題したキャンペーンが始まったが、これは定番ハンバーガー12種類の人気投票をするもの。人気1位のバーガーは価格据え置きで増量するなどして、2月1日から1週間限定販売する。

なぜ、定番商品の訴求を強めているのか。小室氏は「今までのように限定商品も投入して盛り上げていく」とした上で、「売り上げに占める割合が大きい定番商品を強化していくことで、業績の底上げを図っていきたい」とその狙いを語る。

2016年は3期ぶりに黒字化する見通しだが、これは前期に不採算店約130店を閉鎖した効果も大きい。最終利益計画は38億円と、最高益を達成した2011年の132億円に遠く及ばない。2016年は、縮小均衡の黒字化と言え、2014年に発生した期限切れ鶏肉問題や2015年の異物混入問題による落ち込みを取り戻したに過ぎない。業績回復の兆しが見えたことで、米本社による日本マクドナルド株の一部売却問題が進展する可能性もある。

真価が問われる2017年

そうした意味で2017年は正念場となる。回復基調を持続させていくためには、リピーターの獲得や、客の来店頻度をいかに上げられるかが1つのカギとなりそうだ。

Sサイズ100円、Mサイズ150円と価格は据え置く(記者撮影)

JCSI(日本版顧客満足度指数)の調査結果によると、ファストフードの利用頻度は全体として落ちている。同調査開発に携わった法政大学大学院の小川孔輔教授は、「マクドナルドは2015年から2016年にかけて、ヘビーユーザー(半年で5回以上の来店)が10%ほど減少している一方、ライトユーザー(半年に2回利用)が16.3%から24.6%に倍増している」と分析する。

コーヒーは現在も1店舗あたり年間3万7000杯を販売し、時間帯を問わず需要が見込める基幹商品だ。刷新によりヘビーユーザーの割合を高めることができれば、回復の足取りは確かなものになるだろう。

常盤 有未 東洋経済 記者

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ときわ ゆうみ / Yuumi Tokiwa

これまでに自動車タイヤ・部品、トラック、輸入車、楽器、スポーツ・アウトドア、コンビニ、外食、通販、美容家電業界を担当。

現在は『週刊東洋経済』編集部で特集の企画・編集を担当するとともに教育業界などを取材。週刊東洋経済臨時増刊『本当に強い大学』編集長。趣味はサッカー、ラーメン研究。休日はダンスフィットネス、フットサルにいそしむ。

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