BMW「新型5シリーズ」、乗ってわかった実力 7世代目への進化で一体何が変わったのか

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すぐさま、高速道路にノーズを向けた。すさまじい安定感を披露する。特に、150~160km/hあたりの走りが極上で、さすがアウトバーン向きだ。このまま4、500km走れと言われても平気だと思った。なかでも、静粛性は極上の部類で、フラットな乗り味と相まって、滑るように走っていく。

多少ハンドル操作を怠っても矢のように突き進む

500kmどころか1000kmだっていとわない。そう思えたのは、最新の運転支援システムを作動させてからだった。レーンキープアシストとクルーズコントロールをセットして走りだすと、白線をすぐさま読み取り、ドライバーが多少、ハンドル操作を怠っても矢のように突き進む。

前が詰まった。自動で減速。そのマナーもすばらしい。クルマに戸惑いがなく、熟練のドライバーのようにスムーズ。ウインカーレバーを”半押し”にして2秒ほど待つと、自動で追い越し。そのままハンドルを放していると、10秒ほどで警告がなされ、それでもハンドルに手を添えずにいると、レーンキープそのものが解除される仕組みだ。

長距離になればなるほど、時折集中力が途切れてしまうことがある。そういうときに、頼りになる味方=支援システムがあるとないとでは、大違い。筆者は月に3、4度は東京と京都をクルマで往復するが、もはやこの手の”運転支援”安心システムがないクルマでの移動には、不安を覚えるようにまでなってしまった。

話を540iに戻そう。3リッター直6ガソリンターボのフィールはというと、”エンジンのBMW”らしく、大いに右足を喜ばせてくれるもの。レスポンスがダイレクトに右足裏に伝わり、そのまま心臓へと一直線につながる。ターボなのに、高回転域でとても気持ちがいい。もちろん、パワー感もたっぷり。スポーツプラスモードにすると、右足にちょっと力を入れただけでグイィと前に出てしまい、ちょっと過激。普段乗りはノーマルモードで十分だ。

ワインディングでも”BMWらしさ”は全開だった。やや重めのステアリングフィールも、前アシの動きを忠実にドライバーへと伝えるために適切な感覚といってよく、総合的なリニアリティでセグメントライバルたちを圧倒する。BMWのアシづくりは、本当にお見事の一言。本物のスポーツセダンである。

6気筒ディーゼルターボの530d xドライブにも試乗した。こちらはノーマルのアシ回りで、スポーツサスをおごった540iMスポーツに比べると、明らかにソフトな乗り心地である。とはいえ、ふわふわとした乗り味では決してない。Mスポーツが時折スパイスの存在を感じるメリハリの効いた味わいだったとすれば、こちらはどこまでも滑らかで濃厚なテイスト。甲乙つけがたいが、運転席はもちろん、助手席や後席の乗り心地も重視するというなら、ノーマルアシがオススメ。

ディーゼルターボも、6気筒ともなれば、もはやガソリンと区別がつかないほど、スムーズなエンジンフィールだった。それでいて、低回転域からの力強さはガソリンとは雲泥の差。サウンドもよく、回転もキレイ。このあたりも、さすがに”エンジンのBMW”である。6気筒ディーゼルモデルの日本導入も、ぜひとも検討していただきたい。

(文:西川 淳)

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