トヨタ「C-HR」ヒットの裏に透ける二つの不安 ロケットスタートは決まったように見えるが
話題のニューモデル、トヨタのコンパクトSUV「C-HR」がいよいよデビューした。各メディアではそのスタイルや走行性能などを絶賛する評価が相次いでいる。昨年(2016年)12月14日の発売時に公表された月間目標販売台数6000台に対し、筆者が「トヨタ『C-HR』発売前から大ヒットの予兆」(2016年10月12日配信)で報じたとおり、事前受注は2万9000台を突破するなど、順調な滑り出しを見せた。
C-HRは「プリウス」「アクア」などと同様、カローラ店、トヨタ店、トヨペット店、ネッツ店といったレクサスを除くトヨタの国内全系列販売店で取り扱う。この週末(1月7~9日)には店頭発表会が開かれる。
意外と納期は延びていない
一方、2016年末時点で、あるトヨタ系ディーラーの関係者A氏に「かなり納期は先になるんじゃないか?」と聞いてみると、「今だと3月もしくは4月ですかね」との返答だった。確かに納期は遅れ気味となっているようだが、これは筆者が2016年初秋にC-HRの予約受付を始めたころに聞いた予定納期とほぼ変わらず、意外と延びていない。トヨタがもくろんだほど発売直後の受注が伸びていない可能性がある。
レクサスを除くトヨタの全国販売拠点数は約5800店舗。各店に試乗車で販売会社が自社登録すると計算すると、純粋なバックオーダーは約2.3万台と考えられ、月間販売目標6000台の3カ月強分といえる。2015年12月にプリウスが正式発売された段階では、今回のC-HRと同じく同年9月から仮予約を受け付け、発売時点での受注は6万台だった。
「同じ販売会社でも店舗によって受注状況に大きな差が出ており、結構な台数の予約受注を取っている店舗もあれば受注が1台もない店舗もあると聞きます」(前出の関係者A氏、2016年12月末に取材)。車種によっては大都市圏と地方部で売れ行きに差が出ることは聞いたことがあるが、同じ販売会社内の店舗間で売れ行きに大きな差が出るというのはあまり聞いたことがない。
C-HRの発売に先立ち、11月上旬にトヨタから「ルーミー」(カローラ店、トヨタ店)「タンク」(トヨペット店、ネッツ店)がデビューしている。こちらは日本国内では、「ストライクゾーン」といってもいいほどの売れ筋モデル。1ℓという小排気量エンジンを搭載し、両側スライドドアを採用。車内で子どもが立ったまま着替えができるなど、実用性を最重視したキャラクターだ。
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