トヨタ「C-HR」ヒットの裏に透ける二つの不安 ロケットスタートは決まったように見えるが
グローバルカーでもあるC-HRは、海外市場においても不安要素がないわけではない。今日の世界的なコンパクトクロスオーバーSUVブームの先駆車は日産自動車の「ジューク」と言われている。ジュークは2010年にデビュー。BセグメントクロスオーバーSUVというだけでも珍しかった中で、個性的でスタイリッシュなエクステリアを採用。欧州や北米などで発売されるや、どのマーケットでも、「自立した若いキャリアウーマン」という共通したユーザーを中心に高い支持を受け人気を博した。
新興国ロシアでも人気となり、その傾向は東南アジア市場にも飛び火した。中国ではルノー車とのラインナップの関係もあったと聞くが、インフィニティブランドとして販売されている。しかしこの「ジュークブーム」ともいえる現象が各マーケットですでに終息傾向にあるのだ。
すでに市場はある程度、食い荒らされている
ジューク以降各メーカーが相次いでコンパクトクロスオーバーSUVを発売。ジューク後にデビューしたホンダ「ヴェゼル」(海外名「HR-V」)も世界各地で大ヒットとなっている。ハードとしての評価の高いC-HRだが、すでに他メーカー車にある程度、食い荒らされたマーケットでどこまで販売を伸ばせるかについてはけっして順風満帆とはいえない状況であり、「販売力のトヨタ」の力量が試されるといってもいいだろう。
いまどきの社会状況を考えれば、趣向性や物理的、金銭的な理由で300万円オーバーの新車であるC-HRをポンと購入する日本の若年層は限られるだろう。頼みのアクティブな高齢ユーザー層も多人数乗車する機会が多いユーザーだと販促アプローチは難しい。本体値引きゼロの戦略をいつまで続けられるか。
ハードとしては申し分ないし、トヨタとしてはかなりの意欲作ともいえるC-HR。オールトヨタディーラーで取り扱い、販売のトヨタの意地にかけても、自販連統計で最初に1カ月フルカウントとなる今年1月は、車名別新車販売ランキングの上位にくるなど、インパクトのある販売台数を稼ぎ出してくるはずだ。
しかし果たしてそれを統計上持続することができるか、それを販売現場でも実感できるほどの「人気車」となるかについては現時点ではいくつかの不安要素があるのも確かだろう。
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