2017年の幕開けは、大発会の日経平均株価が昨年来の高値更新、21年ぶりの大幅上昇と、幸先のよいスタートとなった。その強気の背景には、昨秋以降のトランプノミクスへの期待持続だけでなく、原油価格の反転や世界経済の明るさもある。日本経済にとっては、トランプノミクスの波にうまく乗って、外需主導での緩やかな回復を持続し、デフレを脱却することが望ましい姿であろう。
今回は、2017年の日本経済を考える上で、この年末年始に筆者が気になったニュースを2つ挙げておきたい。
iPhone7減産の日本の生産への影響は?
第1は、米アップルが昨年9月発売のiPhone7の販売伸び悩みを背景に、2017年1~3月期に前年同期比1割程度の減産をすると報じられたことだ。
足元の相場が、米中の12月指標のよさに強気なら、その先の1~3月期の鈍化を少しは懸念すべきだろう。昨年の今頃も、iPhone6sの不振の影響を受けた減産により、日本の鉱工業生産は前期比マイナス1.0%(そのうちIT関連の寄与度はマイナス0.4%ポイント)と落ち込んだ。
また日本の生産はIT製品サイクルの短期化に伴い、2014~2015年は米アップルが新製品を発売する9月の直前、8月に弱くなる形を繰り返していた(昨年は4月の熊本震災からの挽回生産により、そのパターンが打ち消されている)。それほど過去はiPhoneの影響が大きかったと言える。ちなみに、2017年は米国で初代iPhoneが発売されて10年の節目にあたるという。
昨年12月28日発表の日本の2016年11月鉱工業生産指数は前月比プラス1.5%で、8月以降は一度も低下せずに増産を維持した。夏以降の牽引役は電子部品・デバイスであり、具体的な品目を見ると、東アジア向け半導体集積回路やメモリ、中国向けの大型液晶素子の寄与度が大きい。同時発表の製造工業生産予測指数によれば、12月分の前月比がプラス2.0%、今年1月分が同プラス2.2%とかなり強い計画となっており、いずれも下振れは避けられないだろう。
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