2017年に市場が警戒すべき欧州リスクは? 市場の基調を左右するのはトランプ氏の政策

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共和党の大統領候補となったフィヨン氏。決選投票で極右政党である国民戦線のルペン氏と一騎打ちになることが予想されている(写真:ロイター/アフロ)

世界同時株安という波乱に始まった2016年は、6月の英国の欧州連合(EU)離脱選択などの悪材料が重なったが、11月の米大統領選挙後はトランプ次期政権の政策期待を背景とする円安・株高に終わった。その勢いは、年初から続いた円高・株安の多くを取り戻すほどだった。

2017年の世界経済と市場は、基本的には2016年終盤の流れを引き継ぎ、トランプ政権の政策運営に左右されることになるだろう。

最も楽観的なシナリオは、市場が期待を寄せる大規模減税や巨額のインフラ投資、金融規制の緩和などが具体化する一方、保護主義的な政策を抑制し、米国経済が金利上昇とドル高を吸収しながら、力強さを増すことだろう。新興国経済には、金利上昇とドル高の副作用である資金流出、債務返済負担の増大という減速圧力が加わるが、米国経済の成長加速で需要面からは下支えられる。

トランプ期待が一気に失望に変わることはない

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だが、むろん現実には、そのような「いいとこどり」にはならないだろう。財政への影響を考えれば、減税やインフラ投資は、選挙公約で掲げた内容よりも規模を縮小することが不可避だ。

新興国のうち、米国の金利上昇やドル高の副作用を受けるのは資金流入依存度の高い国であり、需要拡大による恩恵を受けるのは輸出依存度が高い国で、必ずしも一致しない。新興国の一部に資金流入環境の変化によるマイナスの影響が強く表れる可能性はある。

それでも、規制緩和に加え、規模こそ縮小されても2018年度(2017年10月~2018年9月)には財政出動の景気押し上げ効果が期待されることから、2017年にトランプ政権の政策への期待が一気に失望に変わることはなさそうだ。新興国の変調は一部に留まる限り、世界経済全体の基調を転換することはないだろう。

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