2017年デフレ脱却のチャンスをどう生かすか 年末年始のニュースから日本経済を読み解く

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それでも今年の場合は、中国スマホ向けのフラッシュメモリーおよび液晶パネル、自動運転技術の進展で需要が伸びる車載向けの受注が好調であり、過去とは状況が異なる。日系の電子部品メーカーも昨年の減産時の学習効果もあって、iPhone7絡みの影響は受けても、従来のように大きく落ち込まずにすみそうだ。上手くいけば、前期比で横ばい圏にとどまるだろう。

見極めポイントは、世界経済の回復力が一時的に鈍化しても、持続できるかどうかとなる。筆者が目先、注目するのは1月下旬発表予定のIMF(国際通貨基金)世界経済見通しであり、特に中国の2017~2018年の姿だ。そして、トランプ新政権の具体的な取り組みである。

弱い消費、政府や民間が喚起する工夫を

第2は、日本の百貨店の初売り、福袋に長蛇の列というニュースである。

1月3日の日経新聞朝刊の記事によれば、曜日の巡り合わせで年末年始の休みが例年より短めであること、全国的に天候に恵まれたこともあって、来店客を集めたようだ。三越伊勢丹ホールディングスの大西洋社長によれば「福袋に関心が集まるのは、足元の消費が弱含んでいることの表れ」だという。

それより前、昨年12月の大手百貨店5社の売上高では、円安と株高進行により、訪日外国人客と富裕層による高額品の売り上げが好調で、3社が実質で増収となった。日本銀行作成の実質消費活動指数では、2015年秋から2016年春までの停滞感から、2016年夏以降はようやく持ち直しの動きが見えてきたところだ。為替の影響を受けるインバウンド消費の戻りと、資産効果が表れる高額品の動きは朗報ではあるが、中間層の節約志向はまだ変わっていないだろう。

筆者が気になるのは、曜日の巡り合わせの部分だ。実は2017年の暦の特徴として、祝日が土曜に当たってしまう日が4回もある。具体的には2月11日(建国記念の日)、4月29日(昭和の日)、9月23日(秋分の日)、12月23日(天皇誕生日)。厚生労働省の就労条件総合調査(平成27年)によれは、完全週休2日制は、回答企業の約5割となっている。必ずしも土日ではないにせよ、金融機関主体に土曜休みが多いことを考えると、祝日が日曜に当たれば振替になること、ハッピーマンデー政策が支持されたこと等を考えても、土曜の祝日は、消費にとっては残念な日となりかねない。民間サイドでの喚起策を考えるべきだろう。

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