
利用面のわずらわしさから機関投資家には煙たがられる「株主優待」だが、個人投資家にとっては株式投資における大きな楽しみの1つ。とくに足元のように株価の上値が重い状況下では、砂漠の中のオアシスのように心を潤してくれる、ありがたい存在ではなかろうか。
3月14日に配信したランキング記事では「配当」にフォーカスして、利回りの高い3月期決算の会社を約300社、紹介した。今回は「株主優待」に照準を絞り、同様のランキングを作成した。
なお、株主が優待を受けるためには、権利付き最終売買日の時点でその銘柄の株主になっている必要がある。権利付き最終売買日は権利確定日(通常は決算期末日)から2営業日前に設定される。2025年3月31日が期末日の会社であれば、3月27日時点の株主が優待を手にすることができる。
もう1つ注意しておきたいのは、株主優待を実施している会社は権利付き最終売買日の翌日(権利落ち日)に株価が下落しやすい傾向がある点だ。優待狙いで権利付き最終売買日の直前に優待株を買ったものの、権利落ち日以降、株価がズルズルと下がり続け、売るに売れないというケースも起こりうるため、優待だけを狙った安易な銘柄選定には気をつけたい。
優待内容にも注意を払っておきたい。例えば、飲食店を運営する会社の場合、自社店舗での飲食券を株主優待に設定していることがある。しかし、その会社の店舗が自宅や勤務先から離れていれば、気軽に利用することができず、宝の持ち腐れとなることがある。優待利回りだけでなく、優待内容の詳細も要チェックだ。
利回り5%超えは32社
それでは、ランキングを概観していこう。今回掲載した約300社のうち、上位32社が優待利回りで5%超、上位14社が10%超の利回りだった。前述した配当利回りランキングでは、1位の銘柄でも利回りは10%台。単純な利回りの数値だけで比較すれば、本ランキングのほうが利回りの高い銘柄が多いことになる。