2017年は再度大幅な円高になる危険性がある トランプ相場はいったん終了の可能性も
2016年の日経平均株価は1万9114円で終了した。前年末と比較すると91円高であり、5年連続の「年足陽線引け」となった。これは市場のセンチメントの好転を示しているようにも見える。
楽観的な2017年の見通しには要警戒
そこで、今回は2017年の市場動向について考えてみたい。正直なところ、不確定要素が多すぎて見通しがきわめて難しいのが本音である。また、すべての不安材料を取り上げて考慮に入れれば、とても投資などできない。不安や不透明感は常に存在する。一定の警戒は必要だが、一方で過剰に反応することもまた良くないことを2016年の市場で確認することとなった。
したがって、材料面にあまりに傾斜しすぎると、無用な心配ばかりすることになり、正しい判断をしづらくするだろう。逆に、楽観的になりすぎるのもよくない。11月8日の米国大統領選挙でのトランプ氏の勝利以降、ドル高・株高が加速し、一部にはかなり威勢の良い2017年の見通しが出始めるようになった。このような、現状追認の声にはむしろ警戒すべきだろう。
2015年と2016年の環境は異なるが、2015年の年末に「2016年はドル円135円、日経平均2万3000円に到達」などの超楽観的な見通しが紙面を踊っていたことを思い出すとよい。市場関係者の多くが出していたこれらの見通しが、ほぼ全滅だったことを考えると、予想や予測がいかに難しいか、である。前週の本欄「2017年に勝率が高くなる『株式投資法』とは?」でも解説したが、さまざまな予測や仮説を立てることは必要だが、それに固執しないことが重要だ。いかに柔軟に市場に対応できるかが今の市場では重要であり、そのような姿勢を忘れないようにしたい。
さて前置きが少し長くなったが、2017年の市場はどのようになるだろうか。筆者は少なくとも、いまの「トランプラリー」は過剰であり、本来は必要のない動きが起きていると考えている。それは、日米の株価水準やドル円の水準をみれば容易に理解できる。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら