2017年の中国経済は不安材料に溢れている 持ち直しつつある景気は再び崩れるのか

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完成すれば世界最大の空港に。建設が進む北京大興国際空港(写真:Imaginechina/アフロ)

中国国家統計局が10月19日に公表した2016年7〜9月期の実質成長率は前年同期比6.7%増だった。3四半期連続の同6.7%増と横ばいで推移している。しかし、これを前期比で見ると若干様相は異なっている。2016年1〜3月期の前期比1.2%増(年率換算4.9%前後)をボトムに、4〜6月期は同1.9%増(年率換算7.8%前後)、7〜9月期は同1.8%増(年率換算7.4%前後)と年率換算で7%台の伸びを回復してきている。長らく続いた景気減速に歯止めが掛かり、中国経済は持ち直してきたといえるだろう。

2016年の需要の内訳を見ると、消費面では2015年10月に開始された小型車減税の影響で自動車販売台数が前年同期比14.3%増(1〜11月)と大きく伸びたのに加えて、2014年11月以降の6回に渡る利下げで住宅ローン金利も低下、それが住宅販売を促進するとともに家具などの消費にも好影響を与えた。

投資面では民間企業の投資は前年同期比3.1%増(1〜11月)と低迷していたものの(2015年は同10.1%増)、国有企業の投資が前年同期比20.2%増(1〜11月)と極めて高い伸びを示した。中国政府の指導の下、国有企業がインフラ投資を加速させることによって、投資全体が大きく落ち込むのを回避したのである。

また、足元の景気動向を敏感に映す製造業PMI(購買担当者景気指数)を見ても、11月は51.7%と2カ月連続で上昇し、2016年2月の49.0%をボトムに回復傾向が鮮明となってきた。他方、非製造業の景気動向を示す商務活動指数を見ても、11月は54.7%と3ヵ月連続で上昇、拡張収縮の境界とされる50%を大きく上回るレベルで推移している。

政策の重点は景気対策からバブル退治に移る

一方、金融政策の流れを振り返ると、景気が失速しそうになった2015年末から2016年初めには株価が急落、人民元が売られる中で、中国人民銀行は市中銀行から強制的に預かる資金の比率である預金準備率を0.5%引き下げて対応した。しかし、利下げは見送った。

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