2017年は再度大幅な円高になる危険性がある

トランプ相場はいったん終了の可能性も

もちろん相場である以上、市場参加者の思惑でとてつもない価格がつくことは少なくない。しかし、それは結果的に長続きしないだろう。現在の株高・ドル高を演出したのが、それまでショートしていたヘッジファンドであるわけだが、彼らの投資行動が変われば相場は簡単に崩れるだろう。そもそも、今の水準は複数の指標面から見て超割高であり、本来であれば手を出すべき水準ではないからである。

したがって、「トランプラリーに乗りそびれた」と考えているのであれば、それは誤りである。乗らないことが正解だからである。もちろんついた価格で取引をするのだから、上昇トレンドに乗って収益を上げることは可能である。しかし、トレンドにだけついていき、その背景がよくわからない場合には、その投資判断に再現性をもとめることはできない。

少なくとも筆者はそのようなスタンスで市場を見るようにしている。そのため、こうした表現になってしまうのだが、もちろん異論もあるはずだ。しかし、それは自身の考えであり、他人に押し付けるものでもなく、他人の考えを批判する必要すらない。今回のトランプラリーが終了し、株価やドルの水準が落ちてくれば、それはそれで当然と考えるのが筆者のスタンスである。そのように考えることができるのは、そこに明確なデータや分析が存在するからである。このようなスタンスでいれば、再現性が担保され、無用な心配をすることなく市場を見ることができる。

ドル円の理論値は103円、ドル高は今後修正へ

その中でも筆者が注目しているポイントに、ドル円相場の水準がある。これは日本株の方向性を見極めるうえでも非常に重要だ。筆者は本欄で繰り返しドル円の割高感を指摘しているが、その背景には日米の実質金利差の縮小傾向がある。すでに解説しているので今回は省略するが、日米実質金利差から見たドル円の理論値は103円程度である。

ここで非常に興味深いのは、推計値との差の動きだ。筆者が計算している日米実質金利差から見た、ドル円の推計値と実勢値の差は、過去最大で15円程度である。そして、この水準まで拡大したときには、すべてのケースで大幅な円高によって修正が起きている。ここまで解説すれば、筆者が指摘したいことはご理解いただけるだろう。

つまり、理論値である103円から15円上の水準は118円であり、今回のドル円の上昇相場のピークである。したがって、過去の例から見れば、ドル円はすでにピークをつけ、今後は相応の調整を持って割高感が修正されることになる。

今、市場の大勢は「今後は日米金利差が拡大し、ドル円は上昇する」との見方だ。だがそれは「実質金利」の意味を理解していないのではないか。インフレ率は米国が先行して上昇する傾向にある。その結果、日米実質金利差はむしろ縮小し、これがドル円の下落、つまり円高圧力になる。こうなれば、当然、日本株が上昇するというシナリオにはならない。もちろん、相場はついた値段が正しいのだから、日経平均2万円程度までの到達は許容範囲だが、それ以上はドル円が130円を超えない限り、正当化されない。

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