その点、2017年は政府施策として、プレミアム・フライデーが2月24日から始まる。働き方改革と合わせて、余暇の時間を増やす等、消費できる環境を整えることが必要だろう。また物が飽和状態にある状況下、食事を含む他のサービスを受けることもできるコト消費と合わせた戦略も重要となりそうだ。
筆者は、支出が多い子育て世代には、プチ贅沢な物およびサービスにお金を回すには、それなりに付加価値のある、便利なもの、満足感が高いものでないと難しいとみる。そのためには、引続き政府が社会保障の改革を進め、富裕層のシニア世代から子育て世代に分配を促すような税制改正等で、所得の再分配を進めることが必要だ。また勤労者世帯には、やはり賃金の上昇が重要である。
デフレ脱却のカギ握る公共料金、サービス価格
日本にとって2017年は、デフレ脱却のチャンスが巡ってこよう。エネルギー価格の下押し圧力が消えることで、日本のコアCPI(消費者物価指数、生鮮食品を除く総合)の前年比は早ければ2月分でプラスに転じる見込みだ。その先となると、今年度を下回る賃金上昇率では、コアCPIの0%台半ばからの上昇加速を描くのはまだ難しいと言わざるを得ない。2017年度のコアCPIが日銀の予想通り1%台後半となるためには、今夏には1%台乗せが必要だ。筆者予想では、今夏の1%乗せは微妙なところだ。
日銀は展望レポートの分析で、マクロ的な需給バランスに対する価格感応度の低い品目として公共料金や一部のサービス価格、家賃を挙げている。これら"品目ゼロ"は想定以上に物価上昇を抑制している。それでも、今年6月から郵便はがきの23年ぶりの値上げが決まり、新たな変化は出ている。足元でドル円が110円を超える円安が2ヵ月ぐらい定着しつつある。これが半年ぐらいのタイムラグを伴って、物価押し上げに働くだろう。
来年度にサービス価格の押し上げが広がるのか、食料品の値上げだけが進み、消費者の節約志向が再び強まってしまうのか、2017年も企業は価格設定の試練の年となりそうだ。
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