2017年デフレ脱却のチャンスをどう生かすか 年末年始のニュースから日本経済を読み解く

✎ 1〜 ✎ 7 ✎ 8 ✎ 9 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

その点、2017年は政府施策として、プレミアム・フライデーが2月24日から始まる。働き方改革と合わせて、余暇の時間を増やす等、消費できる環境を整えることが必要だろう。また物が飽和状態にある状況下、食事を含む他のサービスを受けることもできるコト消費と合わせた戦略も重要となりそうだ。

筆者は、支出が多い子育て世代には、プチ贅沢な物およびサービスにお金を回すには、それなりに付加価値のある、便利なもの、満足感が高いものでないと難しいとみる。そのためには、引続き政府が社会保障の改革を進め、富裕層のシニア世代から子育て世代に分配を促すような税制改正等で、所得の再分配を進めることが必要だ。また勤労者世帯には、やはり賃金の上昇が重要である。

デフレ脱却のカギ握る公共料金、サービス価格

日本にとって2017年は、デフレ脱却のチャンスが巡ってこよう。エネルギー価格の下押し圧力が消えることで、日本のコアCPI(消費者物価指数、生鮮食品を除く総合)の前年比は早ければ2月分でプラスに転じる見込みだ。その先となると、今年度を下回る賃金上昇率では、コアCPIの0%台半ばからの上昇加速を描くのはまだ難しいと言わざるを得ない。2017年度のコアCPIが日銀の予想通り1%台後半となるためには、今夏には1%台乗せが必要だ。筆者予想では、今夏の1%乗せは微妙なところだ。

日銀は展望レポートの分析で、マクロ的な需給バランスに対する価格感応度の低い品目として公共料金や一部のサービス価格、家賃を挙げている。これら"品目ゼロ"は想定以上に物価上昇を抑制している。それでも、今年6月から郵便はがきの23年ぶりの値上げが決まり、新たな変化は出ている。足元でドル円が110円を超える円安が2ヵ月ぐらい定着しつつある。これが半年ぐらいのタイムラグを伴って、物価押し上げに働くだろう。

来年度にサービス価格の押し上げが広がるのか、食料品の値上げだけが進み、消費者の節約志向が再び強まってしまうのか、2017年も企業は価格設定の試練の年となりそうだ。

岩下 真理 大和証券 チーフマーケットエコノミスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

いわした まり / Mari Iwashita

慶應義塾大学商学部卒業後、太陽神戸銀行(現・三井住友銀行)入行、市場部門で国内経済、円金利担当のエコノミストを経験。2007年4月大和証券SMBCで日銀ウォッチャーを担当。2009年に日興コーディアル証券でチーフマーケットエコノミストとしてホールセール調査の立ち上げに参画。2011年4月SMBC日興証券チーフマーケットエコノミスト、SMBCフレンド証券を経て2018年1月より大和証券、現職。総務省・消費統計研究会委員。ロイター・コラム、時事通信「円債投資ガイド」を定期的に執筆中。仕事のモットーは3つ。(1)世界地図の上で物事を考えること、(2)ホットで付加価値のある情報提供と分析、(3)わかりやすく楽しい経済解説。アネクドータルな情報収集に加え、経験値と好奇心のフル稼働で潮目の変化を読み解く。趣味は世界遺産巡りで、パンダ好き。かつては歌姫、意外にもボーリングは得意?!

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事