デジタルとアナログの対立はもう意味がない 2017年以降に流行る新しい商品・サービス

✎ 1〜 ✎ 43 ✎ 44 ✎ 45 ✎ 最新
拡大
縮小

4.デジタルの創造性

前述の異経験とはいっても、あくまで視覚情報、聴覚情報であって、リアルには程遠い。そう感想を持たれたかたもいるだろう。バーチャル店舗といっても、いきのいい魚を買うなら市場にいって現物を見たほうがいい。リアル店舗は、その「リアル」で五感に訴える。

 

創造性を授けてくれる可能性も

実際にVRの進化とともに、逆説的にリアルの価値も高まっている。現実的に有名映画の舞台やモチーフとなった場所に「聖地巡礼」する流行が続いている。それは、デジタルに飲み込まれる恐怖もあるかもしれない。これ以降、VRをさらにリアルに近づけるべく各社はしのぎを削っていくだろう。

ただ、その恐怖の一方で、デジタルはある種の創造性を授けてくれるかもしれない。たとえば、レンブラント・プロジェクトを見てみよう。レンブラントとは17世紀のオランダの画家だ。このプロジェクトでは、これまでのレンブラントの作品を使って、その傾向を分析。新たにレンブラントが描くであろう絵画を「描き」あげてしまった。実際にビデオを見ると、レンブラントの筆タッチを再現するために使われたのは、なんと3Dプリンターだ(!)。

デジタルが現物というアナログに化ける。そして人々が感動したとき、デジタルとアナログという二項対立はもう意味がない。これが冒頭の提起とつながっている。

デジタルが飲み込む人間のあり方。そして商品やサービスのあり方。いくつかの例をあげていった。まあ私は早く、私の代わりに原稿を書いてくれないかと思うんだけれど。ああ、そのときは私に原稿料など支払われないに違いない。

坂口 孝則 調達・購買業務コンサルタント、講演家

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

さかぐち たかのり / Takanori Sakaguchi

大阪大学経済学部卒業後、電機メーカー、自動車メーカーで調達・購買業務に従事。現在は未来調達研究所株式会社取締役。調達・購買業務コンサルタント、研修講師、講演家。製品原価・コスト分野の専門家。著作26冊。「ほんとうの調達・購買・資材理論」主宰。日本テレビ「スッキリ!!」等コメンテーター。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT