トランプ・プーチン、関係親密化は容易でない 世界で矛盾が露呈、両超大国の抱える「火種」

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トランプ・米次期大統領(左)はプーチン・ロシア大統領(右)に秋波を送るが、現実の国際政治では米ロが対立する問題も多い(写真:ゲッティ=共同)

2018年1月から始動するトランプ米新政権の外交政策はどうなるのか。これまでトランプ次期大統領は公職に就いた経験がない。しかも選挙期間中から、諸外国をやり玉に挙げる発言を繰り返したので、新政権の外交を懸念している人は少なくない。

まず中国との関係では、台湾に接近したことで、中国との摩擦が増えることがはっきりしてきた。一方、ロシアとの関係は、改善する気配が出てきたという見方もあるものの、実際には複雑だ。そして、米国と中国、米国とロシアの関係は、どちらも日本に強いかかわりがある。

台湾に接近、中国の神経を逆なで

大統領選挙の期間中、トランプ氏は、「米国は日本を防衛することになっているのに、日本が果たしている義務はあまりに小さい。財政負担も少なすぎる」と主張してきた。そのため、中国が漁夫の利を得る、とする見方もあったくらいだった。

しかし、トランプ氏と台湾の蔡英文総統との電話会談、および、その後の「米国はなぜ一つの中国に縛られなければならないのかわからない」という発言(12月11日のFOXテレビ)がきっかけとなり、トランプ氏の姿勢が明確になってきた。米中間では今後、摩擦が増大するだろう。

電話会談については、トランプ氏がまだ大統領就任以前だし、儀礼的なことなので、米国政府の対中政策は変わらないと説明するのは、さほど困難でない。が、「一つの中国に縛られない」という発言は、中国にとって深刻な問題である。「一つの中国」は、中国が「核心的」とみなす重要問題だが、台湾の蔡総統は同調しないので、中国はあらゆる手を使って働きかけ、その原則を認めさせようとしている。中国と台湾がつばぜり合いをしている中、トランプ氏が縛られないと発言するのは、台湾に味方することになる。

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