いよいよロシアのプーチン大統領が12月15日に日本を訪問する。
日ロ両国の関係が大いに増進されるのを期待したいが、カギとなるのは「北方領土問題」を含む平和条約問題だ。解決に向かって進むかどうか、展望は決して明るくない。プーチン大統領訪日の準備のため、岸田文雄外相がロシアを訪問、ラブロフ外相と会談したものの、平和条約問題が前進する兆候はなかった。
そもそもロシアの態度は11月19日、ペルーで開催されたAPEC(アジア太平洋経済協力)首脳会議に出席した安倍晋三首相とプーチン大統領の会談のときから、冷たいものだった。首脳会議の締めくくりとしてプーチン大統領が行った記者会見にそのような態度が表れていたのだ。
交渉前進には意欲的でなかった
第1に平和条約交渉に関するプーチン大統領の発言だ。邦字紙の報道ぶりは必ずしも一致しておらず、プーチン大統領は北方領土問題についてゼロ回答であったとか、平和条約交渉を急ぐ気持ちはないと述べたとか、報道された。要するに交渉を前進させるのに意欲的な発言をしなかった。
ロシア政府の発行する『ロシスカヤ・ガゼタ/ロシア新聞』の「ロシアNOW」でも、プーチン大統領は「平和条約調印の準備という私たちが取り組んでいる主要な問題に関して決して先走りたくはない」と述べた、と伝えていた。プーチン大統領は、日ロ関係の発展の妨げとなっている平和条約問題で、この時点でもなお交渉を急ぐ気持ちはない、と言ったのだ。
第2にプーチン大統領が「北方四島で経済協力活動を進めたい」と安倍首相に提案したこと。ロシアの極東地域、シベリアで共同経済活動を行うのは、日本側から提案、プーチン大統領も高く評価したことによって、両国の信頼関係を醸成するのに役立つ。しかし、北方領土で共同経済活動を行うことは、ロシアの主権の下であることを前提にするもので、共同活動で問題が起これば、あるいは税金については、ロシアの法律が適用される。
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