プーチン来日でも進展困難な「北方領土問題」 経済協力活動は主権がどちらかでもめる

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ロシア側のこの提案について、日本側は返答しなかったと伝えられている。当然だ。菅義偉官房長官は後日、「北方四島における共同経済活動については、わが国の法的立場を害さないことが前提条件だ」と、明確に問題点を指摘した。「ロシアの法律を適用しない」ことを双方で明確にしたうえでないと、共同経済活動はできないということである。

もっとも、これではロシアとして、応じられないだろう。北方領土における共同経済活動は常識的には困難で、あくまで実行するなら主権に触れない形をとる必要がある。それが果たして可能か非常に疑問なのだ。

第3にロシア軍が国後・択捉両島で地対艦ミサイル「バル」と「バスチオン」を配備したことである。ロシアのインタファクス通信が11月22日に伝えたのだが、プーチン大統領は当然それを了承していただろう。

国後・択捉へのミサイル配備はマイナス

この行為は日本に著しく非友好的だ。日本が北方領土の軍事化、要塞化に断固として反対するのは、当然である。ロシアのこのような行為は二国間の懸案解決にとって阻害要因となる。

プーチン大統領が今回の日本訪問に先立って厳しい姿勢を示した背景には、冷戦終結後最悪と言っていいほど落ち込んだ米ロ関係がトランプ米新政権の下で改善に向かう、との期待があると思われる。米国がロシアとの関係を重視するようになれば日本もついてくる、そうであれば、ロシアが厳しく出ても日本は譲歩せざるを得なくなる、という読みではないか。

確かに、トランプ次期米大統領はプーチン大統領を積極的に評価し、プーチン大統領もそれに応える発言をした。が、世界が注目したこのやりとりは、オバマ現米大統領への批判という”共通の関心事”に立っていた。トランプ政権の下でロシアとの関係が本当に改善されるか保証の限りでない。

そもそも、トランプ次期大統領が外交面で言ってきたことが実現すると、世界は混乱に陥るだろうが、実際にはそうならない。もちろん、選挙戦で発言したことすべてが反故になるのでなく、環太平洋経済連携協定(TPP)のようにあくまで主張を貫くこともありそうだが、これから新政権発足の準備を進めてブリーフィングを受けるに伴い、トランプ次期大統領が現実的になっていくことは間違いない。

たとえば、ロシアによるクリミア併合をトランプ次期大統領は認められるか。ウクライナ東部で続く戦闘に対するロシアからの支援に目をつぶることはできるか。できないと思う。

米国の大統領としてトランプ次期大統領ができることは限られており、その範囲内でプーチン大統領と良好な関係を築くのは容易なことではない。そもそも、トランプ次期大統領がこだわっている「偉大な米国を回復する」ことは、まさにロシアが嫌悪することでないか。米ロ関係が改善するか否かは、トランプ新政権の基本戦略が固まるのを待たなければ、はっきりとした見通しは立てられない。

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