【産業天気図・外食】食材高、ガソリン高が逆風となり需要停滞。引き続き「曇り」

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予想天気
   08年4~9月  08年10月~09年3月
 

外食業界は需要停滞と材料高に泣かされて、2008年度前半の業界天気図は「曇り」、後半もこの基調は続きそうだ。相次ぐ食品の値上げで消費者の節約志向が高まっているほか、ガソリン価格高騰で郊外店の客足も停滞している。各社メニューの見直しや値上げで食材費の吸収に努めるが、厳しい状況は続きそうだ。
 
 公益法人の外食産業総合調査研究センターによると、07年の外食産業市場規模は前年比0.2%増加の24兆7009億円と2年連続で増加した。ただ、業界団体の日本フードサービス協会が調べた08年4月の市場動向調査(既存店を含む162社、2万8358店)によると、客数の減少により売上高は前年同月比98.7%と2005年2月以来3年2ヶ月ぶりにマイナスに転じた。市場規模は広がっているものの、個店ベースでは厳しい経営環境となっているのが実情だ。
 
 業種別の内訳を前期比で見ると堅調なのがファーストフードと喫茶業態だ。ただ、08年4月のファーストフード業態の売上高は前年同月比で横ばいを維持しているが、08年に入り売り上げの伸びが減速している。
 
 日本マクドナルドホールディングス<2702>は24時間店舗の拡大やプレミアムコーヒーの投入で客数を伸ばすものの、昨年に比べ売り上げの伸びに陰りが見える。同社店長が残業代支払いを求めて起こした裁判の地裁判決で敗訴したため、店長手当をなくして残業代を支払うことになるが、人件費総額は変えずにコストを抑制し、今08年12月期は前期比営業増益に持ち込む計画だ。吉野家ホールディングス<9861>は子会社の京樽が客数減で苦戦しているが、牛丼業態での出店を加速、既存店も牛丼の24時間販売を3月末より再開して今09年2月期は収益を伸ばす計画。ただ、同社が使用するアメリカ産牛肉の全面輸入再開はまだ未定で価格は高止まりしており、収益を更に押し上げるのは輸入再開を待ってからとなりそうだ。
 
 喫茶業態は材料費高騰を値上げで補う。ドトール・日レスホールディングス<3087>はコーヒー豆や小麦粉等の価格上昇に伴い3月からドトールコーヒー、エクセルシオールともに20~30円ほど値上げした。スターバックスコーヒージャパン<2712>も今年2月に一部フードを10~40円値上げして材料高を吸収する。ただ、両社ともに客数が伸び悩み、売上高の伸びが減速しているのが懸念材料だ。       
 
 居酒屋業態はワタミ<7522>は堅調だが、大庄<9979>が苦戦している。マグロ等魚類の高騰や1~2月の降雪など天候不順も重なって、人件費が重くなっている。地域別価格の導入など価格転嫁も検討して挽回する方向だが今08年8月期は減益の公算が高い。
 
 ファミリーレストランも低迷が続く。ロイヤルホールディングス<8719>は4月の既存店売上高が前年同月比7%減と苦戦しており客数の大幅未達で苦しんでいる。人件費等経費の抑制や、女性客向けの新商品を投入するものの、今08年12月期は減益となりそうだ。イタリアンのサイゼリヤ<7581>も郊外店主体のため自動車での来店客主体の地方店が苦戦している。食材の絞り込みによる経費抑制やサイドメニューの販売促進で客単価を引き上げるが、今08年8月期は2年連続の増益から一転、減益となりそうだ。好調だったファーストフードと喫茶にもブレーキが掛かっており、外食業界に光が差し込むのはまだ先となりそうだ。

【山本 亜由子記者】

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