「偽造薬」のオンライン販売は、極めて深刻だ ED薬の4割が偽造、育毛剤、やせ薬にもご用心
DeNAの医療系サイト「WELQ」問題に端を発し、インターネット上のヘルスケア情報の真偽に注目が集まっている。だが、より深刻な問題がある。ネットでの偽造医薬品の販売だ。医薬品、特に処方薬は本来劇薬で、ひとたび事故が起きたときは死につながるリスクがある。バイエル薬品、ファイザー、日本イーライリリー、日本新薬の4社が11月に公表した「インターネットで入手したED薬に関する合同調査」では、なんと40%が偽造薬だったという。ちなみに2009年の調査では60%だった。
現在日本で販売されているED薬は、ファイザーの「バイアグラ」(主成分はシルデナフィル)、バイエルの「レビトラ」(同バルデナフィル)、イーライリリーの「シアリス」(同タダラフィル、日本新薬が販売担当)の3種。シルデナフィルは東和薬品やキッセイ、富士化学、あすか製薬、テバなどからジェネリック(後発薬)も出ている。いずれも医師による処方が必要で、本来ネット販売自体が違法だ。
殺鼠剤や覚醒剤が入っているものもある
一見偽造薬が減っているかに見えるが、偽造薬の輸入は、年ごとにばらつきはあるものの増加傾向にある。偽造品として日本の税関で差し止められた数は、09年の669件から15年には1030件と5割増になっている。
偽造薬には、承認されている用量の2~15倍もの成分が含まれるもの、逆に正規の成分がまったく含まれないもの、中には未承認の成分や、殺鼠剤、覚醒剤が入っているものまである。「何が入っているのかわからない。危険物質の混入も止める手だてがない」(佐々木春明昭和大学藤が丘病院泌尿器科教授)。パッケージの表示などまったく当てにならない。
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