夢の抗がん剤「オプジーボ」への期待と不安 臨床試験は失敗、年3500万円の高額に批判も
“夢の薬”ともてはやされた、小野薬品工業のがん治療薬「オプジーボ」に対し、株式市場の目が厳しくなっている。オプジーボは小野薬品と米ブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMS)が開発した画期的新薬だ。小野薬品は日本や韓国、台湾での開発・販売権を持つ。
2014年9月に皮膚がんの悪性黒色腫を対象に国内で発売され、2015年末にはほかの治療が効かない非小細胞肺がん向け、今年8月には腎細胞がん向けに使えるようになった。今年中には血液がんのホジキンリンパ腫向けとしても承認が得られる見通し。小野薬品は2016年度のオプジーボの売上高を、前期比約6倍の1260億円と見込むが、上振れる公算が大きい。
小野薬品の株価は急上昇後にストップ安
がん細胞がかけている免疫のブレーキを解除して免疫力でがんを攻撃するのがオプジーボである。従来、抗がん剤の末期がん患者に対する延命効果は数カ月だったが、オプジーボを投与すると、年単位で生存期間が延びる患者も現れる。開発段階から小野薬品の株価は急騰。2013年初頭の900円から発売後の今年5月には5000円超に上昇した。
ところがそこから株価は反落。きっかけは8月5日、BMSが未治療の非小細胞肺がんの臨床試験(治験)で失敗した、との発表だ。これが投資家の失望売りを誘い、週明け8月8日にストップ安となった。
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