「偽造薬」のオンライン販売は、極めて深刻だ ED薬の4割が偽造、育毛剤、やせ薬にもご用心

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ED薬をはじめとする処方薬は、正規の成分が正規の用量含まれていたとしても、使う人によっては大きなリスクを伴う。狭心症治療でニトログリセリンを服用している患者の場合、ED薬の成分と相乗効果を発揮してしまい、急激な血圧低下を招くことがある。承認以上の大用量であったり、まして未知の成分が含まれていた場合、体調が急変しても原因がわからず医師も対処のしようがない。厚生労働省のホームページにも偽造ED薬が原因と見られる脳血栓(治癒)や間質性肺炎(死亡)の事例が報告されている。

育毛剤やダイエットサプリにもリスク

ED薬に次いで偽造薬が多いのが育毛剤、ダイエットサプリだ。育毛剤の代表的な成分ミノキシジルは、もともと降圧剤として開発されたが、副次的な作用として増毛効果があることから育毛剤としても開発された(日本では大正製薬「リアップ」)。

日本では外用薬のみで、医師の処方は必要ないが、購入時に薬剤師と相談しなければならない第一類医薬品。内服薬としては米メルクの「プロペシア」(主成分フィナステリド)など6~7種が承認されているが、いずれも処方薬だ。フィナステリドももともと前立腺がんなどの治療薬として開発されたもの。国内で育毛のため服用中に若年性脳卒中を発症した例も報告されている。

ダイエットサプリも問題が多い。抗肥満薬に多い成分オルリスタットは、スイスのロシュや英国のグラクソ・スミスクラインなどの製剤が米国で承認を受けているが、国内では承認されていない。そのため海外から個人輸入する人が絶えないが、脂溶性ビタミンの吸収を阻害するなどの副作用がある。

米国やオーストラリアなどで承認されているシブトラミンは、脳梗塞や冠動脈疾患などに対する重大なリスクがあるとしてカナダなどでは使用中止の勧告も出されている。フェノールフタレインに至っては承認している国はなく、発がん性も指摘されている物質だ。

シブトラミンや向精神薬・ジアゼパム、甲状腺ホルモンが含まれる「ホスピタルダイエット」は死亡事例が4件報告され、厚労省も注意を呼びかけている。ED薬の主成分、シルデナフィルが使われているものもある。降圧作用などの副作用があるのはED薬と同様だ。サプリメントとして販売されていても低リスクとは限らない。

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