「物知りなだけの50代」に今や何の価値もない 「2ちゃん」もTVも幅広く見て自ら意見を持て

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今人気の池上彰さんも、単に知識をわかりやすく解説するだけでなく、そこに彼の意見が反映されているのです。つまり、50歳を超えた人が学ぶべきは、知識そのものではなく、その知識に対する考え方です。では具体的にどのようなとらえ方を学ぶべきなのでしょうか。わたしの場合は次の3つを基本にしています。

①今の答えが10年後の答えでもあるとは限らない

たとえば、ついこの間までコレステロール値が高いことは健康にとって悪でした。しかし、今ではある程度高い人のほうが長生きする、というデータも出てきています。逆に、身体に良いとされていたマーガリンが身体に悪い脂の代表のように言われたりもします。このように、昨日まで正しいと思われていたことが、新事実の発表によって一晩で覆されることは珍しくありません。ましてや、ほとんどのことは現時点で証明されてもいない、ただの仮説なのです。現時点での正解が10年後もまだ正解であると断言することができないのはそのためです。

常に、わかったつもり、知っているつもりではなく、その知っている答えは、あくまでも現時点での仮説にすぎないという前提で物事に接することが重要なのです。

「常識を疑う」ことで得られるもの

②物事を深堀り、横堀りして、常に、別の回答を探す

①に備えるためには、常日頃から一般的な回答を疑ってみる、別の可能性はないかと考えてみる習慣が大切です。

たとえば、「法人税をもっと下げないと企業がみんな出て行ってしまう、外国から企業を誘致できない」と一般的には言われるけれど、本当にそうなのか、むしろ税率をもっと高くしてそのかわり経費として認める枠をもっと大きくした方が景気はよくなり、税収も上がるのではないか。

そんなことを経済学者に言っても、素人考えだと一蹴されるかもしれません。しかし、試してみなければ間違っているかどうかはわからないのです。また、量的緩和やマイナス金利によってお金をジャブジャブに刷れば、期待インフレ率が2%になり景気が上向く、というのも一つの仮説に過ぎず、その結果はみなさんご存知のとおりです。

このように、一般に正しいとされている解、最初に出てくる解以外の別の解を探すことによって、通常は気づかないユニークな視点が持てるようになります。同じ情報から、深い洞察、意外な推論ができる人は、社会で希少価値をもつのです。

③勉強は、ひとつの答えを知ることではなく、多様な答えがあることを知るためにある

真実はひとつであり、それを探求する、というのが、勉強の一般的なイメージだと思います。経営や政治経済、対人関係や人間の心理にいたるまで、正解は唯一という前提のもとに、正しいか間違っているか、善か悪かを判断しようとする傾向が強いものです。しかし、すでにお話ししたように、自分と立場の違う人と会ったり、自分の知らない世界、自分とは異なる価値観で生きる人の本を読んだりすると、世の中には多様な解、価値観があることに驚かされるはずです。それが勉強なのです。多様な答えがあることを知り、まだ知らない世界があると思えばこそ、もっと長く、健康に生きていたいと思えるのです。

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