「高学歴女性」がNPOに続々と集まる事情 ボランティア精神と仕事が合体

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──中心はNPO法人?

中村 安希(なかむら あき)/1979年生まれ。米カリフォルニア大学アーバイン校芸術学部演劇科卒業。日米での3年間の社会人生活を経て、684日(47カ国)に及ぶ取材旅行を敢行。その旅を基に書いた『インパラの朝』で開高健ノンフィクション賞を受賞。その後も取材を続け、訪れた国は約90カ国。公式ブログ(撮影:今井康一)

ソーシャルセクターといわれるところで、特にソーシャルビジネスに近いものが伸びていて、これまでの市民団体系とは違う形で社会の新しい課題を解決しようとしている。私はロストジェネレーションに属し、特に同世代の女性が何を考えているのか知りたいと。失われた20年といわれる暗い時期を経て、世代的におカネのないことが普通とはいえ、いくら非営利といってもおカネを稼がなければ課題を解決できないはずでどうしているのかと。

一歩進めて、N女の出現は現代社会に蔓延する「居場所のない不安」を解消する手立てとなりうるのか、行政・民間・NPOの間を自由に行き来するN女の存在が、異なるセクターのつなぎ役として経営難のNPOの運営を立て直す頼りになるのか、あるいはNPOというフロンティアは働く女性たちの活力の新たな受け皿となりえるのか、といった問題意識もあった。

自己を犠牲にしながら奉仕していくイメージだったが

──この本には10人のN女が実名で登場します。

今までの社会貢献のイメージとは違っている。従来は慈愛の精神論でボランティア活動をやっている人たちが、自己を犠牲にしながら奉仕していくような感じが強かった。今は仕事として一般企業と同様のビジネスとしてやろうとしている。

登場するのは男女雇用機会均等法ができて以降に就職した世代なので、女性もいつか働こうという気持ちを普通に持っている。しかも、夫やパートナーは生涯にわたって雇用を保障される時代ではなくなり、その意味でも自分もいつかは働かなければならないという意識がある。旧世代のN女たちにも高学歴で高職歴の人はいただろうが、その世代の人たちは専業主婦としてボランタリーワークをする考え方で、自分が家庭の稼ぎ頭になろうとの思いを持ってN女になったわけではない。

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