「会社勤め」を辞める前に熟考するべきこと 夢を追って独立した人が失ったものは大きい
冬のボーナスはそのまま銀行に入っていて、年末年始の間になんとなく憂鬱になってしまうと、仕事を辞めようかと考えることがあるかもしれない。退職して、心に秘めていた夢を実現させたい、と。
しかし、現実はどうなのだろう。まずは、ウォール街の元ブローカーで、コンプライアンス担当者だったディワン・ストラウドの経験談を聞いてみよう。
ウォール街を離れフラワー・デザイナーに
20年ほど前のある晩、ストラウドは一人で車に座ったまま、人生の意味について心を悩ませていた。10年以上ウォール街で働いてきた彼は、とてもみじめな気持ちだった。
「すべてがダメだった。訴訟もあったし、ブローカーは不満を言い、顧客は損をしていた。ずっと、ダメな状態が続いていて、クタクタになってしまった。仕事で充実感を得るなんて、想像もできなかった」。
だが、彼には4人の子供と、その子供たちの世話をするために家にいる妻がいた。
ストラウドは言う。「妻とじっくり話し合った。できるだろうか、やるべきだろうかって」。
二人は「できるだろう」と判断し、ストラウドは高給の仕事を投げ打って、わずかな貯金をリスクにさらした。趣味のフラワー・アレンジメントを仕事にするためだ。フラワー・アレンジメントは、アラバマ州での子供時代に祖母から習ったものだった。
それから20年。ストラウドはいまでは、ニューヨーク市で一、二を争う人気のフラワー・デザイナー兼イベント・デザイナーになっている。