「会社勤め」を辞める前に熟考するべきこと 夢を追って独立した人が失ったものは大きい

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フラワー・デザイナーのストラウドは、少なくとも最初の7年間は、事業を軌道乗せられるかどうか、わからなかったと言う。だから、彼と同様の道筋を歩もうとする人たちには、リスクをきちんと理解するようにアドバイスするという。

「キャリアと金銭的な面で、現在やっていることに満足できないのであれば、その気持ちをバネにして前に進み続けられるくらいに不満を感じているのか――自分が本当にそういう状態にあるのかを確かめることだ。私は13年間ウォール街で働いてきて、その間に同業の会社に転職もした。だが、満たされない気持ちは変わらなかった」。

フォードのエリートからライフ・コーチに

キャシー・アンダーセンが16年間感じていたのも、この満たされなさだった。彼女はオーストラリアのフォード・モーターで早いうちに昇進し、10万ドルを超える年収を稼ぎ、シドニーの高級マンションに住んでいた。

だが、彼女は「本当に苦しくて、幸せではなく、人生を変える必要があると思った」と話す。

アンダーソンは持っていた資産の大半を売却し、半年間旅行できるだけの資金を用意した。旅行も終わりに近づいた頃、ある非営利団体がマイアミで、ヨット教育により子どもを支援していることを知った。彼女もヨットができたので、ボランティアとして参加した。その経験がハイチでの仕事につながり、やがてはハーバード大学のケネディ行政大学院で学ぶことになった。

その後、何年間か複数の非営利団体で働き、現在アンダーセンはフロリダ州南部で「ライフ・コーチ」として仕事をしている。彼女が手を貸すのは、人々が仕事を辞めること、あるいは、少なくとも現在の仕事で何か楽しめることを見つけることだ。

「みんな私に、『どうやって仕事を辞められたのか』と聞く。そして『私にはできない』と言う。私の仕事は、そんな人たちに『現在の自分を考えて、自分が求めていることを書き出す』ように言うことだ。そうすれば、自分が必要としているものがわかってくる。すると、ひとつでも今日できることが見えてくる」。

(執筆:Paul Sullivan記者、翻訳:東方雅美)
© 2016 New York Times News Service

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