「高学歴女性」がNPOに続々と集まる事情 ボランティア精神と仕事が合体

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社会貢献というポジティブな理由だけで、女性たちが新しい世界で活躍したいと喜んで参入しているのではない(写真: NOBU / PIXTA)
N女(NPOなど非営利セクターで働く高学歴女性)が問いかける働く女性のあり方とは。『N女の研究』を書いたノンフィクション作家の中村安希氏に聞いた。

NPOで働くことを仕事として考える

──「N女」は、まだ知られていない言葉ですね。

今までいなかったタイプ。有名企業でいい給料をもらって働いていた女性が、その待遇を蹴って雇用条件の劣るNPOなどソーシャルセクターに転職する。昔も高学歴の女性で市民運動をボランティアでしていた人はいたが、決定的に違うのはNPOで働くことを仕事として考えている点。だからけっこうリアリストで、自分たちの立ち位置、組織のあり方もビジネスライクにとらえる。この新しいタイプの人たちがNPOで育ち、受け入れるNPO側も状況が変わってきている感じがする。

──ご友人にN女転身者がいた?

身近なところでそういう人が出てきた。その友人はもともと仕事熱心な人で、米国西海岸のシリコンバレーに10年ほど住み、大手ソフトフェア会社に勤め20代から高い給与をもらっていた。彼女の場合、3.11、つまり東日本大震災が転機になった。自分の母国で大災害が起きたのに、まったく離れた所で好き勝手に過ごしていていいのかとの思いがあったようだ。ITを駆使できるスキルをきちんと社会に還元できているのだろうかとの思いが強くなって、母国でスキルを社会貢献に生かしたいと、会社を辞めて帰国。東北の非営利組織で能力を発揮することにした。

彼女から指摘されたのは、日本のソーシャルセクターで働いている人たちの声が世間一般に伝わっていないことだ。NPOの代表者はマスメディアなどに出て、自伝本もけっこう出している。だが、実際に中で働いている人がどんな思いで、どんな待遇で何をしているのかはわからない。私にはホームレスを助ける活動をしている友人もいて、その種の人が増えている感じはしていたが、実際に中で働くとはどういうことなのかわかるものはなかった。そこで、待遇以外の何か付加価値がなければ、こういった「逆の流れ」は起きないはずと思い、取材を始めた。

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